コンビニエンスストアは、これまで自宅で朝食を摂っていたり、コーヒーショップで朝食を食べていたりした需要を一気に取り込んだ。そして皮肉なことに、「日本人は金髪になる」と創業者が言った、そのマクドナルド需要を取り込みながら。
マクドナルドが放出した”朝食”需要
日本マクドナルドの全店売上高は6月が前年同月比23.5%減と17カ月連続のマイナス。使用期限切れの鶏肉を使っていた問題や異物混入事件、それに伴う対応のまずさなどが響き、今年に入ってからは前年同月比2割以上の大幅な減退が続いている。
そのマクドナルドの特徴として、これまで外食各社が後塵を拝していた領域がある。それが、朝食需要だ。マフィン、ホットケーキ、コーヒー――。マクドナルドといえばブレックファストというイメージを持っている人は少なくない。朝食を外食に頼ったことのある人のうち、マクドナルドの「朝マック」を経験した率はダントツに多い。
そしてマクドナルドのつまずきをきっかけに再注目されているのは、マクドナルドに代わって日本人の朝食需要を誰が取るか、ということだ。その争いには、モスバーガーやフレッシュネスバーガーのような類似競合者、代替商品を使って闘いを挑むコンビニエンスストア各社、そして、消費者に自宅での朝食を提供する食品メーカーとほかの外食チェーン店が混在している。
シリアルや朝定食で迎え撃つ伏兵たち
このところの動きとして活目すべきは、著者のエピソードにもあったシリアル供給者だろう。このところ大ヒットしているのは、グラノーラだ。グラノーラを説明すると、シリアル食品で、ナッツやドライフルーツ、穀物などを牛乳などにかけて食べるものだ。
カルビーの「フルグラ」が大ヒット商品で、朝食市場を使ってさらに成長させようとしている。米国ではシリアル市場は1兆円を超えるものの、日本は25分の1程度しかいたらない。逆に言えば、米国化する日本においては伸びしろがありそうだ。カルビーはシリアルで1日に1億円を売るが、さらに成長を見込んでいる。
阪急阪神百貨店もカルビーなどと組みシリアルを発売したし、サントリーも飲むグラノーラを発売している。また、湖池屋も朝食に程遠かったイメージを逆転させ、朝に食す朝ポテチを発売した。ポテトチップスが難しければ、アイスはどうだろう。森永製菓は「朝アイスしましょ!」というキャンペーンをはじめ、時間がない消費者に時短朝食を勧めている。「眠気がつらい朝も冷たさでシャキッ!」だそうである。
朝食市場に食品メーカーが新たな好機を見つけたのは、もうひとつの理由がある。日本人はまったくおなじ夕食を食べるのは想像しがたいが、朝食であれば固定化しても受け入れる人は多い。
ずっとご飯と味噌汁、トーストとコーヒーの組み合わせを摂り続ける人もいるくらいだ。同じく、たとえば、朝食でいちど消費者の食卓に入れば、ずっとリピートしてくれる可能性が高くなる。それが好機である理由だ。
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