能登地震液状化、傾斜した住宅をどう再建するか 基礎の損傷が復旧を左右、地盤改良が難題

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――住宅の被害を考えるうえでは、基礎がしっかりしているかどうかが重要だということですね。

そこで小規模建物の基礎に関する法規制やガイドラインなどの変遷を見てみたい。

1981年の建築基準法改正により、鉄筋コンクリート造の基礎が推奨された。その後の2000年から2001年にかけて、建築基準法が再改正され、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)が制定された。これにより鉄筋コンクリート造基礎が義務化され、SWS試験による地盤の許容支持力度算定といった簡易な地盤調査が必須となった。また、セメント系固化材などによる地盤改良が行われるようになった。

そして2008年には日本建築学会が小規模建築物基礎設計指針を刊行し、具体的な構造計算法を提示した。これにより、中小の工務店でも簡易な計算ができるようになった。

基準強化が被害軽減につながった

つまり、かつては無筋コンクリート基礎だったものが、鉄筋コンクリート基礎が推奨され、その後、義務化された。近年は、地盤調査や地盤改良が一般に行われるようになった。

今回の被害調査では、戸建て住宅の推定年代と必ずしも整合性が取れているわけではないが、地盤改良が行われ、基礎が鉄筋コンクリート造のケースでは、被害が限定的になっている可能性が高いことが見て取れる。反面、非常に古い住宅では基礎が壊れているケースが多く、建物の大きい傾斜につながっている。

ただし、鉄筋コンクリート造基礎にしただけでは、液状化による沈下リスクはなくならない。無筋コンクリート造よりはましだが、地盤改良が行われていない場合、建物全体が傾斜してしまう可能性はある。

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