【実験】「肉じゃが」今と昔のレシピで作った結果 ひたすら強火で料理する時短レシピはどちら?

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完成した料理は、味の素で旨味が強いこともあり、濃いめだがおいしかった。私は肉じゃが他の煮物調理が苦手で、肉じゃがも、野菜が固いままになりがちだったので、ふだんは水を加えて落としぶたをし、さらに鍋のふたをかぶせる。

強火で火がしっかり通るのか心配もあったが、きちんとほくほくの風味。ただ肉はそぼろ状になってしまった(撮影:尾形 文繁)

ところが今回は、水分も加えず落としぶたもしなかったのに失敗しなかった。成功の要因はおそらく、一口大に切った野菜の小ささ。ひんぱんにかき混ぜたこともよかったかもしれない。野菜はすべて柔らかく仕上がった。

最後に肉を「かぶせる」現代のレシピ

現代のレシピは、フランス・スイスのホテルやレストランで修業経験があり、手早く合理的なレシピで人気の上田淳子氏のもの。2018年に刊行された定番料理の解説つき『から揚げは、「余熱で火を通す」が正解!』の「ホックホクの肉じゃが」。果たして、タイトル通りの仕上がりになるか?

食材はジャガイモ、タマネギ、ニンジン、牛こま切れ肉。調味料はサラダ油、砂糖、みりん、酒、醤油。

調理法は、以下の通り。

① ジャガイモは中サイズで2~3等分と指定されているが、プロセス写真のサイズ感に合わせて4つ割りにした。切ったジャガイモを水に2~3分浸す。タマネギはくし形切り、ニンジンは小ぶりの乱切りにする。ニンジンが小さいのは、火の通りが速いジャガイモと同時に煮上がるようにするため。切り方に工夫がある点は、尚氏と同じだ。肉じゃが成功の秘訣は、野菜の切り方かもしれない。
② 鍋にサラダ油、ジャガイモ、ニンジン、タマネギを入れて中火にかけ、全体に油が回り、野菜につやが出て、ジャガイモの角が透き通るまで炒める。
③ 火を止め、野菜の上に牛肉を広げる。牛肉に砂糖をふりかけ、みりん、酒、醤油を加え、ふたをして中火にかける。
この工程は、関西式すき焼きを思わせる。上田氏は神戸出身だ。
④ クツクツ煮立ってきたら、弱めの中火にして6~8分煮る。
⑤ 牛肉に火が通ったら全体を混ぜ、ふたをして弱めの中火で3分ほど煮る。
⑥ ジャガイモに竹串を指し、柔らかくなっていたらふたを取り、強火にしてときどき底から返し、煮汁が少し残る程度まで煮詰めて完成。

肉じゃがは、肉を炒め野菜を加えるレシピが定番だ。肉の旨味を他の食材に移す目的もあり、肉をいったん取り出すレシピもある。しかし上田氏は最後に肉を加える。何しろ、こま切れ肉は、炒め物を作るとちぎれてミンチ化することがある。

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