日本が「金利ある世界」に戻り、損する人と得する人 預金と住宅ローン以外にも大きな影響が及ぶ

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このように、人によってプラスの影響とマイナスの影響がある中、日本経済全体への影響はどう見ればいいのでしょうか。

日銀の植田総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、政策金利の引き上げによる景気への影響について、「一部の(住宅ローンなどの)貸出金利が上昇する影響で、その部分だけをみればマイナスに影響する可能性はある。(しかし)大きなマイナス影響を与えるものではない」との見解を示しました。

日銀は2%の物価上昇目標を掲げており、生鮮食品を除く消費者物価上昇率は2年以上にわたって前年比2%を超えています。今春の賃上げや定額減税の効果により、利上げをしても個人消費は大きく崩れないと判断したものとみられます。

一方、賃上げや定額減税の効果に持続性はなく、個人消費の低迷が長期化するという懸念があります。1人当たりの実質賃金は26カ月連続のマイナスとなっていることから、金融政策決定会合では利上げに慎重な政策委員もいたようです。

つまり、今回の利上げを吸収して景気拡大が続くのか、景気が腰折れしてしまうのかは、政府・日銀の今後の舵取りによって決まってくるでしょう。

金利安・円安で日本が衰退する

ところで、個人的に残念に思うのは、政府・日銀や市場関係者の議論が、短期的な景気への影響に偏っていることです。それよりも大切なのは、長期的にどういう社会を作っていくかでしょう。

日本以外の国が2020年のコロナ禍から立ち直り、金融緩和政策から出口戦略を進めた一方、日本は現在に至るまで異次元の金融緩和を続けた結果、円安が進み、今年7月上旬には一時1ドル160円を突破しました。

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