日本が「金利ある世界」に戻り、損する人と得する人 預金と住宅ローン以外にも大きな影響が及ぶ

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当面は返済負担が小さくとも、給料が減り始めた50代・60代になって大きな金額の返済を求められると、返済不能に陥るリスクがあります。

変動金利を選択する人は、固定金利よりも低い金利で返済額を減らしたいと考えているでしょう。しかし、人生の終盤に返済不能で自己破産するリスクを考えると、資金的に余裕がない人ほど固定金利への切り替えを検討するべきです(余裕があったらその必要はありません)。

「保守的だ」と批判を受けるかもしれませんが、住宅ローンに人生を賭けるというのはまったく馬鹿げているというのが、筆者の考えです。

金融資産・住宅ローンがなければ影響はない?

では、金融資産も住宅ローンもない(もしくは少ない)という人は、今回の金利上昇は「関係ない」のでしょうか。そうとは言えません。勤務する業種・企業によって借入金が多い・少ないがあり、影響は大きく異なります。

借入金が多い業種、たとえば、電気・不動産・鉄道などにとっては、金利上昇によって支払利息が増え、減益要因になります。また、一般に金利が上昇すると為替が円高に振れるので、インバウンドや輸出が多い製造業にとっても減益要因になります。減益になると、賃金の引き下げ圧力が働きます。

ドル/円 チャート 
足元で急変動しているドル/円相場(「会社四季報オンライン」のチャートより)

とくに影響が大きいのが不動産業です。支払利息の負担増だけでなく、ローン金利上昇で国民の住宅購入意欲がしぼむと、大打撃です。不動産業は異次元の金融緩和でこの10年間、空前の活況を呈していましたが、今回の利上げが一つの転換点になるかもしれません。

一方、金融業にとって、金利上昇で利ザヤが改善することは増益要因になります。また、輸入が多い業種、たとえば小売り・エネルギーなども、円高が進めば購買力が増すので、金利上昇は増益要因となり、賃金が上昇しやすくなります。

もちろん以上は一般論で、個々の企業ごとに影響は大きく異なります。是非この機会に勤務先の負債比率(=負債÷純資産)を確認しておくことをお勧めします。いずれにせよ、大半の国民に金利上昇は大きな影響があるのです。

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