「交際経験ゼロ」40歳の彼が結婚に辿り着いた軌跡 ただ「スン…と生きていた」人がつかんだ結婚生活

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「自分と相手は別々の人間なのだとわかっていること、です。パートナーへの思いやりは必要ですが、あくまで違う人間です。コントロールされたくはありません」

千恵さんは自身もわがままなところがあると自己分析するが、それを客観視して抑える自制心がある。面と向かった相手への気遣いもできる。

「隆志さんとの2回目のデートで代々木公園を散歩することを提案したのは私です。レストランで向かい合って話すとお互いに緊張してしまい、芯を食った話ができないと思いました」

散歩しながら忌憚なく話し合い、隆志さんは「この人で大丈夫だ」と判断。「結婚前提のお付き合いをしてくれませんか」という硬派な告白に至った。恋愛経験が豊富ではないからこそ駆け引きをしなかったのかもしれない。モテていた過去とは決別して本気の婚活に臨んでいた千恵さんの答えはもちろんYES。現在の結婚生活に至る。

“同行二人”で模索し続ける

最近、55平米の2人用一戸建てを買って一緒にローンを返済中だ。財布は共通のものを含めて3つ。小遣いはそれぞれ月3万円だ。結婚したての頃は子どもが欲しかったが、これから不妊治療をするつもりはない。2人きりのささやかな暮らしをともに慈しんでいる。

年に2、3回は軽い夫婦喧嘩があると明かす千恵さん。原因はすべて自分だ。一度も怒らず常にテンションが変わらない隆志さんのなにげない言動に「なんでそんなこと言うの!?」と突っかかってしまうことがある。体調が悪かったりすると神経が過敏になりやすいと自覚している。

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「でも、これ以上の暴言はいけないというラインは守っているつもりです。以前と比べると、自分の機嫌をとれるようになったと思います」

スマートに見える千恵さんと隆志さん。実際にはそれぞれに大きく欠けた部分がある。親から受けた傷だとしても、大人になったら受け止めるしかない。

千恵さんと隆志さんは人生経験を重ねる中で欠点を少しずつ客観視し、自分も周囲も穏やかに過ごせる道を探してきた。これからも模索し続けるのだろう。

かつては一人きりの修業の旅だったが、今は心強い相棒がいる。インタビュー取材後、「このあと隆志さんの両親と4人でランチをするけれど、親密な会話は期待できない」と苦笑いをしていた2人を思い出し、“同行二人”という言葉が頭に浮かんだ。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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