都内の横幅1.8m「極細物件」工夫だらけ驚きの内部 「資材置き場」向きだった敷地に家を建てた

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このほか、キッチンにはメッシュの釣り棚で抜けを作り、レンジフードをはめ込んで空間に溶け込ませるなど、パーツ類の配置にも工夫がされている。

物理的にも心理的にも、視覚的にも広がりが感じられる。限られたスペースを存分に活用しているのだ。

制約のある敷地、建築コストは抑えられるのか?

ちなみに細長い敷地や狭小地に建てる場合、敷地面積に合わせてコストが抑えられると思いがちだが、工夫を盛り込むことでもちろん費用はかかってくる。また、制約のある敷地だからこそ、一般的な住宅よりも、工事に時間がかかる場合もある。

「1.8m幅の家は、両隣に建物があるため足場を組めず、内側から作業を行いました。例えば、換気口や配管は外壁の施工と日程を合わせて同時並行で設置していきます。現場でコンクリートを作ったり材料を溶接したり、限られた敷地で順番に作業をしていきました。技術はもちろん必要ですし、足場のコストは浮いたとしても、手間がかかります」(相原さん)

1.8M WIDTH HOUSE 極狭物件 YUUA建築設計事務所
工事中の1.8m幅の家(写真:YUUA提供)
限られた場所で工事を進めていった(写真:YUUA提供)

こうして10カ月ほどの工事期間を経て、「1.8m幅の家」は完成した。

夫婦と猫が住み始めてから12年経つ。隣接していた建物はなくなり、周辺の景色は変化した。修繕や壁の塗り直しなどを重ねて暮らしている。

猫は、それぞれお気に入りの場所を移動しながら過ごし、Oさんも、段差に腰かけて猫を眺め、空間を行き来して自由に過ごしている。

さまざまな居場所が存在する空間で、猫も人も幸せそうだ。「楽しい家」というコンセプト通り、上下左右に移動する立体的な暮らしを楽しんでいた。

【その他の写真を見る】猫4匹と夫婦で暮らす豊島区にある幅1.8mの極細物件。家の中はどんな光景?気になる間取りも
1.8M WIDTH HOUSE 極狭物件 YUUA建築設計事務所
夜の風景。床の浮遊感が感じられる(写真:傍島利浩)
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鈴木 ゆう子 ライター

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すずき ゆうこ / Yuko Suzuki

総合雑誌編集部、住宅誌編集部などを経て、フリーランスとして活動。趣味実用、住宅、インタビューなどを手掛けている。

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