このほか、キッチンにはメッシュの釣り棚で抜けを作り、レンジフードをはめ込んで空間に溶け込ませるなど、パーツ類の配置にも工夫がされている。
物理的にも心理的にも、視覚的にも広がりが感じられる。限られたスペースを存分に活用しているのだ。
制約のある敷地、建築コストは抑えられるのか?
ちなみに細長い敷地や狭小地に建てる場合、敷地面積に合わせてコストが抑えられると思いがちだが、工夫を盛り込むことでもちろん費用はかかってくる。また、制約のある敷地だからこそ、一般的な住宅よりも、工事に時間がかかる場合もある。
「1.8m幅の家は、両隣に建物があるため足場を組めず、内側から作業を行いました。例えば、換気口や配管は外壁の施工と日程を合わせて同時並行で設置していきます。現場でコンクリートを作ったり材料を溶接したり、限られた敷地で順番に作業をしていきました。技術はもちろん必要ですし、足場のコストは浮いたとしても、手間がかかります」(相原さん)
こうして10カ月ほどの工事期間を経て、「1.8m幅の家」は完成した。
夫婦と猫が住み始めてから12年経つ。隣接していた建物はなくなり、周辺の景色は変化した。修繕や壁の塗り直しなどを重ねて暮らしている。
猫は、それぞれお気に入りの場所を移動しながら過ごし、Oさんも、段差に腰かけて猫を眺め、空間を行き来して自由に過ごしている。
さまざまな居場所が存在する空間で、猫も人も幸せそうだ。「楽しい家」というコンセプト通り、上下左右に移動する立体的な暮らしを楽しんでいた。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら