センスメイキング理論によると、大事なのは「目先の正確性」以上に、みなが自社の存在意義や未来への解釈をそろえて腹落ちすること、すなわち「納得性」なのだ。
逆にいえば、多義性を排し、進むべき未来への腹落ちを全員で高められれば、組織は「思わぬ力」を発揮する。
「腹落ち」で組織が思わぬ力を発揮した「実話」とは?
象徴的な事例として、カール・ワイクが自身の論文で引き合いに出す逸話(実話)を紹介しよう。
上記の逸話のポイントはおわかりいただけるだろう。
常識で考えれば、ピレネー山脈の地図でアルプスを下山できるはずがない。
しかし、大事なのはそこではなく、ピレネーの地図をアルプスの地図と勘違いしたがゆえに、「いちかばちかだが、地図があったから、これで帰れるかもしれない」と、隊長も隊員も全員が腹落ちしたことなのである。
全員が心から進むべきだと感じる道がそろったためにリスクをとり、結果、不可能に思われた下山を可能にしたのだ。
もしここで隊員たちが納得せず、「地図の正確性」だけに頼っていたら、下山を覚悟できずに全員が凍死していただろう。
今の日本では「正確性」だけにこだわり、「腹落ち」が弱いがゆえに"凍死"しかけている企業が少なくないように、私には見える。
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