セレブたちが愛する「非常識なお茶」の秘密

従業員11人の日本の会社が起こした奇跡

創業当初から、資金難、限られた人材での経営のため、「広げる」のではなく、「絞り込む」戦略にしました。

勘違いされやすいのですが、高価なものを売っているだけでは、高級店にはなってもブランドにはなりません。ブランドは、顧客がつくるものなので、その理念でブランド設計をしました。

たとえば、ITの世界でブランドといえば、アップル。創業者のスティーブ・ジョブズのカリスマ性もさることながら、忘れてはならないのが、熱狂的なファンの存在です。彼らは、アップルユーザーであることにプライドを持っています。しかし、ファンなら誰でもいいというわけではありません。それに、創業当時のわが社は、レストランやホテルが顧客、つまりBtoBです。したがって、ファンになっていただくのも個人ではなく、ビジネスパートナーである法人です。

私が最初の顧客に選んだのは、バカラでした。

きっかけは、テレビのバラエティ「SMAP×SMAP」を見ていたときのことでした。その日のゲストは渡哲也さんで、手土産に2つの品をお持ちになっていました。ひとつは、石原プロモーションにご所属なので、裕次郎ワイン。もうひとつ、ワインを飲むためにと、バカラのワイングラスを取り出したのです。

芸能界の慣習から考えて、「裕次郎ワイン、すごい!」とSMAPのメンバーが喜ぶのだろうと思って見ていたら、なんと彼らは「えっ、レアなワインに、しかもグラスはバカラですか? すごい!」と、バカラにも反応したのです。

そのとき、国民的アイドルのSMAPがそこまで興奮するバカラのグラスとは、いったいどのようなものだろうと関心を持ちました。

調べてみてわかったのですが、バカラの歴史は古く、ルイ15世の時代にまでさかのぼります。洗練された美しさと品質基準の高さから、フランス王室のみならず、イギリス王室やロシアの皇室、そして日本の皇室も愛用していると言われています。

世界的に認められている一流ブランドで、歴史もあり、品質もすばらしい。これほど強力なビジネスパートナーは、なかなか見つからないでしょう。

早速、当社の会長が六本木ヒルズのバカラのお店に、飛び込み営業に行きました。弊社は当時、まったくの無名でしたから、私たちの商品を扱っていただける保証はありませんでしたが、結果は即決でOKでした。自社商品の品質の高さには自信を持っていましたが、そこまで順調にいくとは思っていませんでした。「本物は本物を選ぶ」「無名であっても、本物のブランドは、次のブランドを育てる」と実感しました。

最初の顧客は慎重に選ぶべきだと思います。多少時間がかかってもいいのです。安易に妥協してしまったら、その後もずっと妥協が続くでしょう。

非効率なやり方が、実はいちばん効率的

新しい商品を販売するときには、まずは商品を知ってもらうために試飲・試食していただく。これはとても一般的な方法です。

私はよくセミナーや講演会に、講師として招かれます。おそらく聞き手の多くの方が、ロイヤルブルーティーのお茶を試飲できると期待されているのでしょう。

しかし、弊社では試飲は基本的にお断りしています。たとえ1本百万円のワインでも、紙コップで飲んだらおいしくは感じません。駅のベンチで飲んでも感動はありません。

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