トヨタ、車を"売らない"贅沢イベントの狙い 「レクサス」のマーケティングにあの手この手

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豪華なディナーイベントは2日間で約100人が参加した

駿河湾の先に富士山が眺められるホテルで、贅沢な花見の会が開かれた。参加者は地元の伝統芸能を堪能し、屋内外に用意された桜を目にしながら、地元食材を使った創作料理に舌鼓を打った。

3月22日、23日に開かれたこのディナーイベントは、トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」がサポートする「ダイニングアウト」の一コマだ。2012年に新潟の佐渡から日本各地でイベントを行い、今回で6回目を迎えた。

こうしたイベントを開く理由については、レクサス・ブランドマネジメント部の高田敦史部長は、「レクサスは日本発のラグジュアリーブランドを目指している。そのためには車だけではなく、ブランドに合ったライフスタイルの提案など、さまざまなマーケティングをしていく必要がある」と語る。

 1989年に誕生した高級ブランド

2014年に発売したレクサス「NX」は東京タワーでイベントを開催した

ダイニングアウトでは試乗会を開くものの、いわゆる販売活動は行わない。「少しでもレクサスとの距離を縮めていただき、車を買い替えるタイミングで『レクサスもいいね』と思ってもらえればいい」(沖野和雄・レクサスJマーケティング室長)と言うように、通常の販促とは”別物”の扱いだろう。

1989年に米国で誕生したレクサスは、高機能かつ高品質を武器に新興プレミアム・カーブランドとして米国で一定の地位を築いた。2014年の販売台数は前年比11%増の58.3万台だったが、メルセデスベンツ、BMW、アウディという、“GERMAN3”が本気で反撃に出る中で、レクサスの勢いはいくぶん見劣りしている。

昨年はコンパクトSUVの「NX」やスポーツクーペ「RC」を投入し、ラインナップ拡充にも余念が無い。しかしながら、日本国内では欧州ブランドの人気が根強い。2011年や2012年にはレクサスが販売台数でメルセデスやBMWを上回ったものの、2013年にはメルセデスに、2014年にはBMWにも抜かれ、高級ブランドで3位に甘んじている。

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