東芝が失う「財界活動」の特別パスポート 失墜したブランドの信用回復が急務
その後、2013年に田中久雄が社長に就任すると、前社長の佐々木則夫は副会長職に就く反面、西田は会長の座にとどまった。東芝では異例ともいえる3トップ体制になった役員人事は財界で、「2014年に控えた経団連の次期会長人事を意識したもの」といった憶測を呼んだ。
経団連会長は通常、経団連副会長などの要職を務める、現役の社長か会長から選ばれる。西田は経団連副会長を2013年6月に退いたことから、要件の一つは満たしていない。それでもわずかな可能性を残すため、東芝会長にとどまったと見る向きもあった。
しかし、業界内で会長候補と目されたのは西田ではなく、むしろ現役の経団連副会長だった佐々木のほうだった。やがて、二人の確執が広く知られたことが影響したのか、その線も消えてしまう。
もはや財界活動どころではない
電機業界の中で次期経団連会長と有力視されていたのは、東芝の宿敵でもある日立製作所の川村隆会長だった。結局、川村は高齢などを理由に、就任を固辞。最終的に、東レ会長の榊原定征の就任が2014年1月に内定し、経団連会長レースは幕を閉じた。
創業140年を迎える名門企業で起こった今回の問題で、東芝の歴代3社長が辞任。暫定的に会長の室町正志が社長を兼務し、8月中には新たな経営体制を発表する方針だ。7月21日付で東芝副会長を退いた佐々木は、同日、経団連の副会長辞任を申し出た。
今後は失墜した東芝ブランドの信用回復が急務。財界総理どころか、経団連副会長という定位置が消えても、おかしくない。
=敬称略=
(「週刊東洋経済」2015年8月1日号<7月27日発売>「核心リポート01-3」を転載)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら