大逆風のベネッセと学研を分析する 教育産業は2018年問題を乗り越えられるのか

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今後はこういった事業構造の変化や、多角化の成果が現れてくる可能性があります。もちろん、その前にお客さまの信頼を回復することが大前提です。

利益率がもともと低かった学研

続いて、学研の平成26年9月期決算(2013年10月〜2014年9月)です。損益計算書(10ページ)を見ると、売上高は前の期より3.8%増の901億円ですが、営業利益は86.5%減の2億8000万円となっています。なぜでしょうか。

1つは、出版事業の不振です。学研は、中学生向けの学習参考書や問題集、児童向けの書籍だけでなく、美容や健康などの出版物も出しています。参考書などの教育出版物は好調だったのですが、健康美容・家庭実用分野が極めて不調だったのです。

もう1つは、元々、売上高営業利益率が非常に低いということです。前の期は2.4%、この期は0.3%しかありません。ほとんど儲からない商売だと言えます。ですから、多少でも売り上げが落ちたり、売上原価や販管費が嵩んでしまうと、大幅に利益が落ち込んでしまうのです。

一方、先ほど分析したベネッセの売上高営業利益を計算しますと、個人情報漏洩事件が起こる前の平常時では、8%程度ありました。学研よりははるかに効率よく稼いでいます。

なぜ、同じ教育業であるにもかかわらず、これだけの差がでているのでしょうか。答えは、事業内容にあります。

先ほども説明しましたように、ベネッセの主力は進研ゼミです。セグメント別(25ページ)で考察すると、昨年度は会員数こそ減っていますが、売上高営業利益率は11.0%ありますから、儲かる事業なのです。

同時に、同社は少子化を見越して、進研ゼミ依存から脱しようともしています。介護事業や海外教育事業は、それぞれ56億円、13億円の利益を出しています。

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