大逆風のベネッセと学研を分析する 教育産業は2018年問題を乗り越えられるのか

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一方、学研はどうでしょうか。事業別の業績をまとめたセグメント情報(20ページ)によると、主力は出版事業です。

ただ、先ほどもお話ししましたように、参考書や問題集などの教育関連の出版物は、好調の一方、悪化しているのは、健康美容・家庭実用分野なのです。主力にもかかわらず、12億円の赤字を計上しています。

ちなみに、各事業の資産規模という点からも、出版事業は全体のうち30.2%と、最も大きなウエートを占めています。最も多くの資産を使っていて、最も大きな売上高を出しているにもかかわらず、足を引っ張っている事業なのです。

出版と並んで大黒柱になっているのは、「教室・塾事業」です。ただ、こちらもかろうじて12億円の利益を出していますが、利益率は高くなく、4.7%しかありません。

また、学研もベネッセと同様に、介護事業などを手がけています。しかし、こちらはまだ開業費用分をペイできるほど稼いでいないため、赤字が続いています。これからどう事業を展開するのかに注目したい部分でもあります。

以上のことから、学研は今、業績的には結構厳しい状況にあると言えます。

学研は何かに投資をしようとしている?

最後に貸借対照表(8~9ページ)から安全性を調べますと、自己資本比率が43.1%ありますから、問題ない水準です。

注目したいのは、流動比率です。220.8%もありますね。なぜ、これほどまでに高くなっているのでしょうか。

答えは、借り入れによって現預金の額を増やしたからです。資産の部にある「現金及び預金」が、99億円から163億円まで増えています。もともとの現預金の額自体は適正水準ですから、おそらくはこれから何かに投資をしようと考えているのではないでしょうか。

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