お相手は源資通という人で、容姿も教養も作者の好みにドンピシャの人だった。そこで、何の季節がお好き?という話になり、サラちゃんのお友達が秋を選び、サラちゃんは春を選ぶ。そして胸キュン場面…
「もしも長生きをしたら、今夜から春の夜を貴女に出会えた記念日だと思うことにするよ(キャー!いいことを言うね!)」。(源資通の)その言葉に対して、秋を選んだ友達が、「へぇ、みんな春が好きなんだ~。じゃあ秋の夜は一人で眺めることにするわ(ちっ)」と詠むので、男性が面白がって、どっちの味方をするかが迷い……
まさかの中年男女のロマンス!
こんな気の利いたセリフを言われたら気分上がる!話題は何でもよく、読んでいてかなりキュンキュンするところ。季節はさておき、話が発展するのかなとドキドキハラハラしながら読み進めるのだが…その後2回ほど言葉を交わす機会があるにもかかわらず、妻となっていたので(あまりにも旦那についての言及が少なすぎて忘れてしまうところ)、最後には会うことを遠慮して沙汰止みとなってしまう。
作者にとってはかない初恋だったようだ。短い作品の中で、このエピソードは比較的に長くつづられ、このシーンは本当に美しく、作者がその思い出を抱いて、一生を過ごしたことがうかがえる。
誰しもそんな甘酸っぱい思い出は持っているもの。サラちゃんのキュンキュンドキドキの言葉でそれを思い出してちょっぴり切なくなる・・・と思ったら!ちょっと待って!注釈を見ると、この時点でサラちゃんはすでに35歳、相手の男性は3つ上の38歳。当時の寿命のスタンダードで考えると、もうとっくに桃色の青春を通り過ぎていて、いわばダンディーなエロおやじと浮かれたおばさんのやり取りだったと知る。それを考えると、自分はまだまだ頑張れると思うし、そしていつまでも乙女心を捨てないサラちゃんをリスペクト。
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