「腐女子の日記」に隠されたメッセージとは? 古典好きイタリア女子が「更級日記」を解説!

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たとえば更級日記をのぞいてみることに。

原稿用紙100枚にも満たない宝石箱のような短い作品。いわゆる日記文学の代表作の一つで、作者は菅原孝標女(以降、更級日記にちなんで、サラちゃんと呼ぶことにする。やや少女漫画をイメージ)。源氏物語をはじめ、当時流布していた作品が大好きなサラちゃんは今で言ういわゆる文学少女。彼女のすさまじいヲタクっぷりは以前から話題で、本人はきっと心外だと思うであろうが、腐女子の元祖とまで言われている。

「更級日記」にはミーハー心が詰まっている

一応エリートな血筋だが、ド田舎育ちの、あか抜けないサラちゃん。そんな彼女は都では物語というものが流行っているという噂を聞きつけて、どうしてもそれが読みたくて読みたくて仕方がないというミーハーな感じ。取りつかれたかのように、この神やあの神に手を合わせて、「都に行かせて!源氏物語というものを1ページも残さずに全部読ませてええ!!」と毎日願う。

やがてどこかの神がその願い(というかもはや執念と言っても良いのだが)を聞き入れて、都へGo!色々な巡り合わせがあって、さまざまな不幸が重なった後、念願の源氏物語、しかも全文を手に入れることに成功する。

そして故郷へ帰る少女。彼女父親はあまり日の当たらない職に就く中級役人で、住んでいるところも微妙だが、源氏物語があるだけで幸せな日々を過ごし、空想に耽って暮らしている様子ーー。

物語のことをのみ心にしめて、われはこのごろわろきぞかし、盛りにならば、かたちも限りなくよく、髪もいみじく長くなりなむ、光の源氏の夕顔、宇治の大将の浮舟の女君のやうにこそあらめと思ひける心、まづいとはかなく、あさまし。
【イザ流圧倒的意訳】
物語のことばかり考えて「まだ幼いからブスだけど、年頃になったらあたしだって超キレイになって髪の毛がめっちゃ長くなり、光源氏が愛した夕顔や、薫を惑わせた浮舟みたいにモテ女子になるわ~」と真剣に信じ込んでいた時代があった。今思うとただ浮かれていたんだなって・・・。
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