「腐女子の日記」に隠されたメッセージとは? 古典好きイタリア女子が「更級日記」を解説!

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この文の中では、更級日記でよく出くわす形容詞、〈いみじ〉、が使われているが、それを辞書で引いてみると二つの意味があるということを知る。一つは「よい、すばらしい」、もう一つは「ひどい、恐ろしい」。つまり、そう、今でいう〈ヤバい〉の「先祖」みたいな感じなのだ。

言葉は時代と共に廃れて、生まれ変わっていくものだけれども、その根底にある感覚はやはり変わらず、伝えようとしている感情は普遍的なものなのだと気づかされる瞬間。そして、日本語は今も昔もあいまいで、どっちつかずの言い回しが多く、コンテクストに点在されているヒントを汲み取って、読み込まないと正しく理解できない、ひとことでいうと面倒くさい言葉なのだと改めて思う。

サラちゃんに訪れた絶好のチャンス

そんな非常に現代的な感覚を秘めている単語を使って、キラッキラと輝く自分の大人の姿、ヒロインみたいにめくるめく恋をするという夢を思い描いている少女を愛おしく思わずにはいられない。

しかし…現実は現実だ、DNAには逆らえないもの。冴えないサラちゃんは束の間の宮仕えも経験するが、やはり人生は物語のようにドラマチックに発展しない。ちょっとだけ袖や髪の毛を御簾からちらつかせれば男がわんさわんさと忍び込んできたりしていた平安時代にもかかわらず、誰一人彼女に興味を抱かないのであった。

周りを見回すかぎり光源氏のようなステキな王子様なんぞありゃしない。それは残念ながら平安時代も平成時代も変わらないらしい。

やがて彼女は平凡な役人の妻となり、子供たちを育て、宮仕えのパート(?)をやっている普通のオバサンになる。

そんなある一夜、素敵な男性が現われたではありませんか!しかも殿上人!友達と出かけていたときに遭遇し、見られてしまったので逃げるわけにもいかず、話をすることに。それで何の話をするかというと…なんと春秋定め…今も昔もこんなに季節のことで盛り上がるのは日本人だけなのではないだろうか。

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