話題作なく総崩れ?「夏ドラマ」評価分かれる背景 クドカン新作と日曜劇場は厳しい評価の一方…

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一方で、『あの子の子ども』は、16歳の高校生カップルの女子生徒が妊娠してしまう物語。ふつうに部活も勉強もがんばり、恋愛も楽しんでいた一般的な高校生の2人が、その“1回きり”の出来事で苦しみ、悩むことになる。

あの子の子ども
『あの子の子ども』(写真:『あの子の子ども』公式インスタグラムより引用)

たまたまコンドームが破れ、たまたまタイミングがあわず病院でアフターピルをもらい損ねる。そのことから目を背けるように生活していたなか、妊娠が発覚する。女子生徒は後悔し、傷つき、悩んで苦しむ。どこにでもいるような高校生2人が向き合う現実が切々と描かれる。

生まれゆく命を扱う良作

この2作に共通するのは、生まれゆく命を扱うテーマであることと、そこに向き合う現代の若者の素直な思いと真摯な姿勢が描かれていること。テレビドラマらしいドラマティックな演出はない。彼らの心の内が切々と丁寧に紡がれる。彼らの気持ちに嘘や作り物がなく、リアルだから心を打たれる。

2作品とも、誰の身の回りにあっても不思議ではないし、誰もが当事者であってもおかしくない。もし自分だったらと容易に想像できる物語であり、彼らの行動にも心情にもまるで自分ごとのように共感できる。

そこには、当事者へ優しく寄り添う姿勢と、彼らを見守る温かい視点がある。そのうえで、現代社会の一面をすくいあげる社会性とリアリティを兼ね備えた良作だ。

劇中の登場人物たちの人生が険しい道ではあることは承知のうえで、一緒に苦しみながら、これからの彼らの人生を見守っていきたいと思わせてくれる。そんな2作の行く末にも注目したい。

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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