「たった2行のはがき」で癒やせる"老親の孤独" ポストに投函するまでに5分もかからないはず

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誤解している人が多いのですが、「弱っている人が喜ぶ言葉」というのは、「大変だね、どこが痛むんだい?」などと医者の問診のような言葉ではありません。会話はなかなか弾まないものですし、気が晴れることもありませんから。

昔話をするのは、とてもよいことです。たとえばあなたの両親に言葉をかける場合。

「お母さんのあのおかずは、おいしかった」「私が子どもの頃、お父さんは、よく公園に連れていってくれた」という具合です。

年長者には、自分が元気だった昔の話を好む人が多くいます。手柄話、自慢話、武勇伝など「過去の栄光」を思い出してもらい、いい気分になってもらうのも、相手の心の掃除の手助けになるはずです。

1通のはがきが無限の幸福につながることも

でも、人間というものは長時間話しているうちに、遠慮もなくなり、話し相手のありがたみも薄れ、つべこべと言いたくなってくるものです。

「なんだか会話がグチっぽくなってきたな」と感じたら、相手の話に同意しながら、こちらはのめり込まず、反論しないようにしましょう。

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「この人は心のお掃除をしているのだ」と思って、言わせてあげます。

相手の話を受け流すにはコツがあります。どんなグチも「掃除機が吸い取ってくれている」と思えば聞き流せるものです。相手の言葉をさえぎったり、反論をするのは「掃除のじゃま」になってしまいます。

大切な人となかなか会えないときは、はがきを出してみるのも手です。若い世代ははがきよりも、スマホのメッセージのほうが多いでしょうが、受け取った人の手元に残るはがきはとてもいいものです。

はがきは面倒と感じる人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。大きく2行書くだけで大丈夫です。たとえば「お母さん、元気ですか。私は元気です」という感じに。

もしくは、この先に楽しみを感じてもらえるような明るい言葉を贈りたいものです。言霊には、計り知れない力がありますから。

こんな文章でもいいでしょう。

「町でどら焼きを売っていました。今度、一緒に食べようね」

あなたにとっては、はがきを買うところからポストに入れるまで、ものの5分もかからないことでしょうが、相手にとっては、一生の宝物になるかもしれません。そのとき、あなたの「1ミリの優しさ」が、誰かの無限大の幸福となるのです。

鈴木 秀子 「聖心会」シスター

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すずき ひでこ / Hideko Suzuki

東京大学人文科学研究科博士課程修了。文学博士。フランス、イタリアに留学。スタンフォード大学で教鞭をとる。聖心女子大学教授(日本近代文学)を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。聖心女子大学キリスト教文化研究所研究員・聖心会会員。長年にわたり、全国および海外で講演活動を行い、 多くの相談を受けてきた。著書に、44万部突破の『9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』のほか、『あなたは、あなたのままでいてください。』、『今、目の前のことに心を込めなさい』、『自分の花を精いっぱい咲かせる生き方』など多数。

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