死んだ「小さなトカゲ」が訴える飼い主への"望み" 「砂漠で暮らす動物が暑さで死ぬ」という意味

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ヒョウモントカゲモドキを飼い始めたら、健康なときからよく観察して、変化にはすぐ気づけるようにしましょう。

イヌやネコと同じように定期的に動物病院に通い、健康診断や飼育相談をしておくのもよいかもしれません。爬虫類を診察できる動物病院は限られていますから、信頼できる主治医を見つけておくことは、いざというときのために大切です。

死因を知りたいと爬虫類のご遺体を持ち込まれる飼い主の中には、体重を記録したり、餌や排泄物の量を記録したりして、日々の変化をわかりやすく整理されている方も多くいらっしゃいます。

記録に残すことで些細な変化も見過ごさないですし、死因究明や病理診断の参考にもなっています。

愛情をもってよく学んでほしい

もう20年以上前のことですが、ぼくも飼育していたことがあります。10歳くらいまで生きましたが、引っ越しをした際に飼育環境の調節に失敗して、拒食に陥って衰弱して死なせてしまったことがあります。

撮影協力:LUCK UP Reptiles ホームページはこちら(撮影:尾形文繁)

ヒョウモントカゲモドキの病理解剖に臨むとき、ふとそのことが頭をよぎり、あのときもっと気をつけていれば――という後悔の念にかられることがあります。

ペットとしての歴史が浅いヒョウモントカゲモドキは、病理解剖で全身の臓器をくまなく調べても、病気や死因を明らかにできないことも少なくありません。

それでも病理解剖を積み重ねていくことで、少しずつ病気の理解が深まり、飼育や治療に活かせることができると信じて、今日もヒョウモントカゲモドキの病理診断をしています。

中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家

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なかむらしんいち / Shinichi Nakamura

1982年生まれ。大阪府出身。岡山理科大学獣医学部獣医学科講師。獣医師、博士(獣医学)、獣医病理学専門家、毒性病理学専門家。麻布大学獣医学部卒業、同大学院博士課程修了。京都市役所、株式会社栄養・病理学研究所を経て、2022年4月より現職。イカやヒトデからアフリカゾウまで、依頼があればどんな動物でも病理解剖、病理診断している。著書に『獣医病理学者が語る 動物のからだと病気』(緑書房,2022)。

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大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者

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おおたに ともみち / Tomomichi Ohtani

1982年生まれ。兵庫県出身。東京大学農学部卒業。同大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻修士課程修了。同博士課程中退。出版社勤務を経て2015年2月にスタジオ大四畳半を設立し、現在に至る。農学・生命科学・理科教育・食などの分野の難解な事柄をわかりやすく伝えるサイエンスライターとして活動。主に書籍の企画・執筆・編集を行っている。著書に『増補版寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち』(講談社)、『眠れなくなるほどキモい生き物』(集英社インターナショナル)、『ウシのげっぷを退治しろ』(旬報社)など。

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