勝利の女神を呼び込む「いい顔」 ホリプロファウンダー最高顧問・堀威夫氏④

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ほり・たけお ホリプロファウンダー最高顧問。1932年生まれ。明治大学在学中よりミュージシャンとして活躍。60年堀プロダクション設立(90年ホリプロに社名変更)。89年には業界初となる株式公開を果たす。還暦を期に車や家などを替えて、人生二毛作を実践。

「むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく ふかいことをおもしろく」

これは井上ひさしさんの言葉で、受付のそばに額を掛けてある。

僕はよく言うんだけど、植木でも何でも、放っておくと複雑になっていくんだよね。訳知り顔の業界人たちの話を聞いていると、だんだん何を言っているのかわからなくなることがある。横文字がいっぱい入っているようなプロジェクトって成功しない。単純化できるものは成功率が高い。そんな原理・原則論が僕の中にはある。

また、オフィスにある姿見の上には「いい顔作ろう」という標語がある。なぜそんなことを言うようになったかというと、僕が“気”に興味を持つようになったことがきっかけ。

いい顔が作れていれば人気は高まる

プロ同士が戦ったときに、毎回勝つことってなかなかできないでしょう。お互い、切磋琢磨して技量を高めているんだし、プロ野球の監督で全勝して優勝しようなんて思うヤツがいたらおかしいんでね。負け戦も計算に入れてどうするかだから。

とはいうものの、何か違う視点がないだろうかといろいろ考えて、ぶつかったのが気功。気には波動があるということがわかった。5月に亡くなった藤平光一さん、そして矢山利彦さんという気の使い手と親しくなって、藤平さんの道場には社員研修でも何度か行っている。

気という言葉は日本語でたくさん使われているけれど、それは決して偶然じゃない。「気を使って疲れた」「気がある」「気がない」「気が合わない」って言うでしょう。「大気」「空気」「勇気」「元気」、そして僕としては最後に「人気」とくる。

いい顔が作れていれば人気は高まる。それは芸人に限らないんですよ。なぜかあの人のところには人が集まるという話がある。それはその人がいい顔をしていて人気があるから。いい顔を作れていない人は、人が集まるときに壁の花になる。

結局、プロ同士の戦いに勝とうとするなら、勝利の女神を味方につけることを考えないとダメ。まず、通夜の晩みたいな顔をしたやつには絶対ほほ笑まない。それで「いい顔作ろう」という話につながるわけ。

仕事をしていれば嫌なこともあるから、いい顔を作れといってもなかなか難しいかもしれない。でも、仕事が終わったら酒を飲むもよし、エクササイズするもよし。一晩寝て朝起きて、自分の顔を見る。そうやって、自分の顔をメンテナンスしろというのが、僕の考えなんです。特に男の場合、素が出るからね。

週刊東洋経済編集部
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