マネジメント価値を追求してきた ホリプロファウンダー最高顧問・堀威夫氏①

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ほり・たけお ホリプロファウンダー最高顧問。1932年生まれ。明治大学在学中よりミュージシャンとして活躍。60年堀プロダクション設立(90年ホリプロに社名変更)。89年には業界初となる株式公開を果たす。還暦を期に車や家などを替えて、人生二毛作を実践。

僕はミュージシャンとして10年、堀プロダクション(現ホリプロ)を設立して51年、この世界で約60年生きてきた。タレントと会社が長生きする秘訣はと聞かれることがあるけれど、僕は、プロフェッショナルという言葉が好きでね。単純に言えば、それで飯を食うってことになるんだろうけど、「こういうことがプロなのか」と気がつくたびに、メモにとってある。

自分がプロだと自覚している人はいないというのが結論で、プロフェッショナルとは何ぞやというテーマを自分に与え続けて、それに向かっている人がプロだと思う。

ホリプロにとって重要なのは「マネジメント価値」。われわれはこれでおカネをもらうわけだから。自分たちがその価値を認識しておかないと、会社での座り心地は悪いし、会社も長続きするわけがない。昔、ある評論家が芸能プロは芸者の置屋と同じと言ったことがあってね。世の中からはそう思われがちだった。

他人のマネジメントがタレントが長生きする原理原則

僕が言ったのは、「芸能プロ+タレント=100」だとして、「100−タレント」がいくつになるかということ。この数字がマネジメント価値だと仮説を立てた。これがゼロだと会社はおカネをとれないじゃない。長い道のりだったけど、最近ではマネジメントフィーのことを、かすりを取るとか言われなくなった。

 次に考えたのは、プロのマネジャーにとってのマネジメント価値の位置づけ。一発当てるというのは、かなり確信があったとしても、“神のみぞ知る”要素がどこかにある。だから、当てた後にどう引っ張ることができるか。ステップアップを続けていけるか。その長さをマネジメント価値としたわけ。

これは長年の経験から感じていることだけど、一発当てて短命で終わる人の多くは、親類縁者とかがマネジメントしているんじゃないかな。愛情を注ぐだけだったら、血のつながりのあるほうがいいでしょう。でも、当たると一緒にうれしくなるし、うまくいかないと一緒にがっかりする。そんなふうに喜怒哀楽を共にするかぎりは、長生きできない。

当たれば、勝って兜の緒を締めるじゃないけど、次の準備をしないといけないので喜んでいられない。うまくいかないときは、やせ我慢でもニッコリして胸をたたかないといけない。精神衛生上よくないの。親類縁者にそれをやれと言っても難しい。非常に単純なことだけど、他人がマネジメントすること。これがタレントが長生きする原理原則。能力じゃなくて、血の差なんです。

週刊東洋経済編集部
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