海上自衛隊の潜水艦メーカーは2社も必要あるか 川重の裏金問題で注目される潜水艦の実態

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そもそもきつい艦隊勤務は人気がなく、パワハラやセクハラが問題化されにくい組織文化と相まって離職者も少なくない。防衛省は「人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会」も設立して対策を講じているが、これまで防衛省の対策は成果が上がっているとは言えない。しかも今後少子高齢化で若年勤労者の数は減っていく。サブマリーナの確保は困難だ。

筆者は7月9日の防衛省会見で木原大臣、酒井良海上幕僚長に潜水艦22隻体制を人的資源の面から今後も維持できるのかと質したが、両者とも我が国の防衛省22隻体制の堅持は必要で維持すると述べた。

だがそれは精神論、べき論ではないか。現実問題として2023年度の自衛隊の募集計画の達成率は過去最低の51パーセントまで下がっている。特にいわゆる「兵隊」「水兵」にあたる任期性自衛官の募集達成率は30パーセントに過ぎない。その中で潜水艦乗組員の適性を持ったものはどの程度いるのだろうか。しかも問題は新規の隊員だけではない。自衛隊では中途退職者が極めて多く、財務省も長年警鐘を鳴らしてきた。だが中途退職防止策も功を奏していない。いくら防衛省が力んでも乗組員が集まらなければ22隻体制は画餅である。

他国で導入されているクルー制は実現せず

省力化によって1艦あたりの乗員数減らすことを進めても潜水艦の数は減少せざるを得ないだろう。潜水艦の隻数を例えば12隻、10隻に減らして他国でも導入されているクルー制を導入すべきだ。クルー制とは1隻の潜水艦に2組の乗員を用意し、交互に乗り組むシステムだ。こうすれば現状は帰港後、遊んでいる潜水艦を有効利用でき稼働率を上げることができる。

また乗員の年間の乗艦期間を減らし、航海の負担を減らすことができる。陸上で教育を受けたり、他の任務に従事したりもできる。少ない艦でもより高い稼働率を維持でき、また任務の苛烈さからくる離職者も減らせるはずだ。

実は海自でも「もがみ」級フリゲートの導入にあたっては3隻に対して4組のクルーを用意したクルー制を導入する予定だったが、実現していないという。これは筆者の海幕長への質問で明らかになったが、その事実も理由も海自は説明してこなかった。また先の海幕長会見でもこの件を質問したが、回答できないとのことだった。我々納税者は海幕が適切な対策を取っているのか知るすべはない。これは納税者に対して説明責任を果たしているとは言えまい。

さらに申せば護衛艦も潜水艦も本来定員に入っている医官はまったく乗り組んでいない。例外は海外任務のときだけだ。医官の不足は深刻であるが、これも長年放置されて改善していない。それは戦争を想定していないのか、戦時の人的損害に無頓着ということだ。これではかつての帝国海軍以下である。これまた木原防衛大臣、酒井海幕長に尋ねたが、具体的な対策を聞くことはできなった。

実は海自の潜水艦の性能は大概怪しい。海自の潜水艦は世界最高レベルだと自画自賛しているが根拠はない。我が国の潜水艦は輸出もされていないし、諜報機関があるわけではないので、他国の潜水艦の実態がわかるはずがない。

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