考えてみれば、初期のiPhoneも似たところがあった。最初に手にとったのはデジタルデバイスが大好きな人たちのみ。海のものとも山のものとも判断つかない初物の製品は、様子見をする人々が多いことがわかる。
このVision Proの普及に立ちふさがると見られているのが、メタのQuestシリーズだ。約60万円のVision Proと、7万円台で購入できるQuest 3とでは価格帯が大幅に異なるが、両者とも空間コンピューティングの実現に向けたOSの開発を進め、世の中のアプリ開発者に「こっちの水は甘いぞ」とアピールしてアプリエコシステムの実現を目指して対立しはじめている。
子どもたちのために親が買い与えた?
XRヘッドセットという市場全体を見ると、すでにメタのQuestシリーズが高いシェアを確保している。シリーズ全体の数字となるが、2023年3月時点で2000万台が売れたと報道された。1世代前のQuest 2が安価だったことと、2020年からはじまったコロナ禍によるステイホームが、この販売台数の理由だ。
すでに生産は終了しているが、Quest 2は最終的に200ドル(約3万1900円)という価格で販売された。これはニンテンドーSwitchとほぼ同額だ。外で遊びたくても外出が制限されていた時期に、イライラが募る子どもたちのために親が買い与えたというのは想像にかたくない。
メタも低価格モデルがシェア確保のために必要であることは理解しており、現行モデルの低価格機であるQuest 3S(仮称)が9月に行われるメタのイベントMeta Connect 2024で発表されるのではと噂されている。
多種多様な機能を盛り込んだ結果、約60万円となったVision Pro。子どもでも使えるゲーム機としてコストパフォーマンス重視で開発され、7万4800円で購入できる現行モデルのQuest 3。同じXRヘッドセットだとしても、直接のライバルとはなりえない。レクサスのような高級車とファミリーカーを比較するようなものだ。
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