アップルの「Vision Pro」発売は"時期尚早"なのか 未成熟、利益貢献は先でも今投入すべき理由
アップルが「世界初の空間コンピュータ」と位置付けるApple Vision Proが2月2日に発売された。筆者を含め、実際に製品を手にした者が口を揃えるのは、(いつになるかはわからないが)この製品の先にコンピューティングの未来がある、という確信だ。
同じような確信をより抱いているからこそ、アップルはこの端末を世に出すことに決めた。
では、アップルが踏み出した一歩は、テクノロジー業界にどのような影響を及ぼすのだろうか。グローバルで、さまざまな化学反応へとつながるのだろうか。
これから何が起きるかは、アップルのティム・クックCEOも見通せてはいないだろう。しかし、どんな意見をぶつけられようとも、彼らは最終的な目的地へとたどり着けると信じているようだ。
現状すべての消費者には勧められない
アメリカに飛んで実機を入手した筆者は、いち早くその実力を試している。正直なところ、現時点ではすべての消費者に勧められるほど成熟した製品とは言えない。
優れたユーザーインターフェイスや高い表示品質、音響性能などには驚かされるものの、現時点でのアプリケーションは既存のVR/AR端末で見られたアイデアの“焼き直し”が多いことも事実だ。先進性や将来性は明確に感じられるが、その一方で従来製品を大きく逸脱し、新しいジャンルを確立するほどの応用例を提案しきれていない。
こうしたことから、Apple Vision Proの市場投入を“時期尚早”と断じる声も聞こえてくる。
しかし、時期尚早の今だからこそ、アップルはできうる限りの洗練を重ねたうえで、少し先の未来を見せるために投入した。彼らが誘っているのは、世の中を変えるアイデアを持ち、次の世代を担う開発者やクリエイターたちだ。
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