VisionPro予約で見えたアップルの"大きな賭け" 大規模投資の先に見据える「独り勝ち」の未来

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昨年お披露目されたApple Vision Pro
2月にいよいよアメリカで発売されるApple Vision Pro。その購入の仕組みなどから、アップルが膨大かつ緻密な投資をしていることが読み取れる(筆者撮影)

Mac、iPod、iPhone――。業界を刷新してきた過去の名品をも上回るインパクトを与えることになるのか。

アップルが毎年すばらしい品質の製品を開発していることは、改めて指摘するまでもない。iPhoneを中心とした製品ラインナップをより魅力的にし、ユーザーコミュニティを強化することは、アップルにとって“現時点での”収益を形作るうえで最も重要なことだ。

1月19日に予約が開始された「Apple Vision Pro」は、成熟が進んだiPhone中心の製品ラインナップを近い将来、大きくアップデートしていくための布石だ。筆者もすでに予約注文し、発売日の2月2日にアメリカで受け取る手配をしている。

しかし発売が近づくにつれ、わかってきたのは、”布石”と呼ぶにはあまりにも膨大で緻密な投資がなされているということだ。その詳細な製品仕様や購入プロセスから、Vision Proが多様な技術、知見を突き詰めた先にある製品であることがよくわかる。

SF小説のような表現も大げさではない

Vision Proは名前の通り、使用者の”視覚(Vision)”と”聴覚”に近づき、空間の表現能力を持つことで、人間とコンピュータあるいはネットワークの世界を接続するデバイスだ。

アップルはパートナー企業に、”VR”や”MR”といった言葉は使わず、”空間コンピュータ”と表現するよう求めているという。アップル流の洗練されたマーケティングの一環ととらえる向きもある。

もっとも、昨年6月に実機を体験した筆者は、”空間コンピュータ”という新しいジャンルを開拓する製品だとするSF小説のような表現も、決して大げさではないと感じている。

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