日本の現場を殺した「3つの過剰」という根本問題 組織を強くする「本当に必要な管理」とは?

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言うまでもなく、現場に管理は必要である。管理軽視は現場を崩壊させる。

しかし、現場の状況もよく把握していない本社・本部が策定した的外れな規則やルールを現場に押し付け、縛るのが内部統制ではない

経営者や本社スタッフは、現場にかかる業務負担とそれをこなす組織能力に乖離がないか、その事実を見るべきなのだ。現場力に大きな乖離がなければ、問題は起きない。

「目で見る管理」が現場を成長させる

現場管理の基本は「目で見る管理」である。

本社や本部は新たな規則やルールを「つくる」ことには熱心だが、それらを「変える」や「なくす」ことには関心がない。現場の状況や時代にそぐわない規則やルールは、定期的に「断捨離」するべきだ。

そして本社・本部は、規則やルールで「現場を縛る」のでもなく、「自らの目」で見る管理を心掛けなければならない

現場に「過度な負担」がかかっていると認識すれば、その理由を解明しながら、組織としての訓練、努力を粘り強く積み重ねていくことになる。

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現場は、最初はできなかったことでも、努力、経験、知恵を積み重ねる。それによって現場力は間違いなく一段ずつ高まっていく。

つまり、現場力を重視するのであれば、管理の基本は「自主管理」でなくてはならないのだ。

本社・本部がマイクロマネジメントをするのではなく、現場自らが自分たちで自分たちをコントロールする。

その「自主・自発・自律」こそが現場管理の基本であり、内部統制の本質なのだ。

規則やルールはミニマムにする。そして、「自主管理」できる現場を育てる。

それこそが「真の現場管理」である。

現場力はいきなり消えてなくなったわけではない。この20年の間に経営の無為無策により徐々にやせ細り、消滅させられたのである。

「3つの過剰」を是正できなければ、管理強化のツケが回ってくるのだ。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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