1つめは「積極的な設備投資や人材育成投資を抑制してきた『投資なし』」経営である。
かつて日本のモノづくり企業は、「メイド・イン・ジャパン」で世界市場を席巻した。
世界のモノの輸出総額に占める日本のシェアは、ピークだった1986年には10.3%あったが、2022年のシェアは3.0%にまで低下した。
輸出額自体が減っているわけではない。日本の相対的な地位が低下しているのは、中国や韓国などのライバル国が日本以上に伸ばしているからである。
その一方で、国内での設備投資は抑制されてきた。
日本の国内における設備投資は、この30年間で2割程度しか伸びていない。その間、アメリカやカナダは2倍以上に設備投資を増やし、欧州主要国でも4~8割伸ばしている。
人材育成投資は「欧米5カ国と10倍以上の開き」がある
設備投資以上に問題なのは、きわめて低水準の人材育成投資だ。
GDPに占める企業の能力開発費の割合を欧米5カ国と比べると、日本が突出して低いことがわかる。
アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、英国がGDPの1%以上を投下しているのに対し、日本はわずか0.1%と、10倍以上の開きがある。
また、日本企業の多くは、OJT主体の人材育成を行ってきたが、OJTには数多くの問題点があることは以前から指摘されている。
上司によって指導能力や熱意に大きな差があること、上司が多忙だと指導が後回しになってしまうなどの欠点は深刻である。
にもかかわらず、多くの日本企業は「体系的な人材育成」を行わず、「人づくり」を放置したままである。
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