3つめは「上がった利益は内部留保や配当に回し、給与を上げてこなかった『賃上げなし』」経営である。
OECD主要加盟国における2021年の労働時間当たり人件費を見ると、日本は30.37ドルと主要先進国中最低で、韓国(30.68ドル)をやや下回り、チェコ(28.83ドル)を若干上回る程度の水準である。
フランス(52.53ドル)、ドイツ(51.49ドル)、アメリカ(48.88ドル)などとは比較にならないほどの差をつけられている。
アメリカの人事コンサル大手であるマーサーの調査によると、2023年の専門職の平均年収は、アメリカが16万2717ドル、シンガポールは12万6456ドルである。それに対し、日本は7万5317ドルにとどまる。
アメリカとは2倍以上の差をつけられている。これでは優秀な人材の流出が止まるはずもない。
多くの日本企業は「低賃金・低生産性」という状態
主要先進国の労働分配率を見ても、日本はアメリカに次いで低い状況だ。しかし、アメリカと日本ではその背景は大きく異なる。
アメリカは労働時間当たり名目GDPが他国に比べて高いにもかかわらず、労働時間当たり人件費は他国並みにとどまっているため、低い水準になっている。
それに対し日本は「生産性は低いけれども、それ以上に人件費が低いために労働分配率が低い」という状態にある。
つまり、「低賃金・低生産性」という縮小均衡が続いているのである。
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