晴海フラッグ「投資目的で住宅ローン」の"悪質性" 「居住実態なしが3割以上」違法な契約がバレたら?

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現在、住宅ローン商品の中心をなしているのは、「フラット35」を初めとするフラットシリーズです。これは、民間金融機関が住宅ローンの貸付けを行い、独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」)がその貸付債権の証券化を支援する、という連携と役割分担の下で誕生した住宅ローン商品です。

「フラット35」という名称は、固定金利(=フラット)で、かつ、返済期間が原則として15年以上35年以下(=最長35年)という、長期・固定金利というローン商品の魅力を分かりやすく表現しているといえます。

そして、この「フラット35」をはじめとする住宅ローン商品は、資金使途を「自己又はその親族の居住の用に供するための住宅の建設、取得等のための貸付け」であることが要件とされています。これは、「フラット35」をはじめとする住宅ローンは、他の不動産投資ローンや使途を定めないフリーローン等と比較して、その商品設計や貸付条件が非常に優遇された内容となっていることの裏返しの関係です。

そのため、「フラット35」を初めとする住宅ローンを利用して不動産を取得したにもかかわらず、第三者に賃貸する目的の投資用物件に用途を転換することは融資条件に違反することになります。

もし賃貸に出しているのがバレたら「一括返済」も…

――万が一、賃貸に出していることが露見した場合、どうなるのでしょうか。

機構では、「フラット35」を初めとする融資を受けた住宅宛てに、定期的に、転送不要の郵便をもって融資残高証明書を送付するといった方法により、申込者またはその親族が実際に居住している実態があるかを確認しているようです。そのため、長期間空室のままになっていたり、第三者に賃貸していたりといった場合には、早晩、機構にその事実が露見するだろうと思われます。

そうした場合、資金使途として認められているマイホーム以外の目的での利用が明らかになれば、機構は融資申込者に対し、期限の利益を喪失させて融資残額を一括して返済するよう請求してきます(全額繰上償還請求)。

以前、実際に、「フラット35」が不動産投資ローンやフリーローンよりも有利な商品特性を有していることから、投資用物件の取得のための資金であるのに、これを偽って「フラット35」を悪用していたケースが問題となりました。今でも、関係書類の偽造等を行って「フラット35」を申し込むことを持ち掛けてくる不動産業者や投資コンサルタントがいないとも限りません。

しかし、初めから、第三者に賃貸する目的の投資物件を取得するための資金借入れであるにもかかわらず、そのことを秘して、「フラット35」を初めとする住宅ローンの申し込みをすることは、融資を実行する金融機関に対する詐欺罪(刑法246条)が成立すると考えられます。

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