ついにアニメ化「サクナヒメ」独特なヒットの裏側 小規模のインディーゲームが一大ムーブメントに

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本作の主人公は、豊穣神である「サクナヒメ」。彼女はもともと神々の都に住んでいたものの、とある事件をきっかけに数名の人間と一緒に孤島へ行くはめになってしまう。

孤島では、米づくりをしながら島に巣食う鬼と戦うことになる。ゲームとしては敵と戦うアクションゲームパートと米づくりシミュレーションパートに分かれており、両方をこなすことで物語が進行していく。

ゲーム版『天穂のサクナヒメ』。米づくりをしながら「ヒノエ島」を探索していくのが目的のゲームとなっている(画像は任天堂公式サイトより)

リアルに近い米づくりが大きな話題に

大きな特徴は、いい米を作るとサクナヒメが強くなるという部分だ。丁寧に田を耕し、稲を適切な間隔で植え、適度に水を張って肥料をやり、秋には刈り取って干して脱穀……と、米づくりの一連の流れが入っているのである。

このリアル寄りの米づくりが発売当初は大きく話題になった。全農広報部がゲーマー向けに稲づくりの資料を紹介したり、現実の稲作の方法からゲームの攻略方法を見つけようとしたりする動きまであったほどである。日本農業新聞で取り上げられるなど現実を巻き込みつつ、現在は農林水産省とのコラボにまで至った。

ゲーム中には塩水選(塩水で良い種籾を見分ける方法)や足踏み精米機なども用意されており、さまざまな資料をあたって米づくりについて調べたであろうことがわかる。

サクナヒメ
米には味・量・香などのステータスがあり、どのような米を目指すのかもプレイヤー次第となっている(画像は任天堂公式サイトより)

また、本作の舞台は現実世界ではないものの、日本神話を思わせる世界設定になっているのが重要だ。『天穂のサクナヒメ』には日本らしさが詰まっている。稲作や日本神話風の世界設定はもちろん、『アクトレイザー』(※)を参考にゲームシステムを制作しているのも、日本の制作者から生まれたゲームだからこそだろう。

※『アクトレイザー』は1990年にエニックスから発売されたスーパーファミコンタイトル。アクションパートと街作りシミュレーションパートのふたつの要素で構成されている特殊なシステムで、日本での知名度が高い。

そして何より、「米づくりのイヤなところ」に少し触れているのが重要だと筆者は考えている。

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