社内政治に強い人は、数字をこう使っている こんな目標無理!と思ったときにどう言うか
こうすれば、1課は8億円が妥当というロジックになります。ただし、上司である部長の考え方を真正面から否定すると、いい提案でもすんなり受け入れられないこともあります。そこで、いったん部長の考えを認めたうえで、自分の提案もしてみる。つまり、2人の配分案のミックスを提案するのはどうでしょう(図3)。
課長「2つの考え方をミックスすれば、こういう配分が妥当でしょうか」
部長「なるほど。総合的に考えれば1課は9億円が妥当かもな」
いかがでしょう。議論に深みが出ますし、何より部長の心象や納得感が違います。なぜなら、相手も自分と同じように「部全体の配分」という視点で考えたうえでのコミュニケーションだからです。
目指す着地点は同じ「1課の目標は9億円」でも、コミュニケーションの仕方で、こうも展開は変わってくるものなのです。
ビジネスにおいて、何かを配分するという行為には、論理的かつ数字で説明できる根拠があるはずです。部門ごとの予算配分や人員配分などはその代表的なものでしょう。ならば、その調整をするのであれば当然その根拠に対して、論理的かつ数字で説明できるようなアプローチをしなければなりません。数字で考えている相手に、数字を持ち出さずしていったいどう交渉するというのでしょう。
だから、「1つ上の目線」で仕事をしなさい
そろそろまとめましょう。私のマネジャー時代の経験と、多くの課長研修を実施してきた経験から断言できることは、こういうことです。
できる課長とは、部長(上司)の気持ちになって、あるいはその立場にたって考えてみることができる人。
結局は人間同士ですから、いかに相手のことも考えてコミュニケーションをとれるかが大事だということでしょう。誤解していただきたくないのですが、私は上司に媚びなさいと言っているわけではありません。
つねに「1つ上」の目線で仕事をしなさいということなのです。かくいう私も、かつて上司からそのように言われたことがあります。そのときは正直ピンとこなかったのですが、今ならその重要性が痛いほどわかります。
部長なら、つねに取締役のつもりで仕事をする。
取締役なら、つねに社長のつもりで仕事をする。
つねに上司の気持ちになって(立場にたって)仕事をしていることが垣間見える人なら、上司からの信頼が得られるのは必然。これが真実でしょう。
そして、課長にとっての上司にあたる人物、具体的には部長・取締役・経営トップなどは、「数字」が主たる言語になっているケースが多いはず。だから、数字をコミュニケ−ションに使える課長というのは、上司との会話もスムーズですし、さまざまな調整も上手なのでしょう。これが、私が「数字に強い課長こそが、仕事を前に進めることができる」ということの根拠なのです。
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