怒り(イカリ)の反対は理解(リカイ)です。暴言の背景にあるのは、ひと言でいうと思春期特有の体と心の不安定さです。具体的には次のようなことです。
第2次性徴である思春期には性ホルモンがたくさん作られます。その性ホルモンが扁桃体を刺激します。扁桃体は感情をつかさどっているので、性ホルモンが増えることで感情が爆発しやすくなります。それがイライラや暴言を引き起こします。
思春期には今までにない速さで自分の体が変化し、そのことに戸惑いを感じます。同時に性への関心が高まることも気持ちの不安定さにつながります。とにかく自分のトリセツがわからず、自分でも持て余している状態です。
京都大学の森口准教授によると、12才~15才(中学生)の頃は小学生の頃より欲求をコントロールする力が一時的に下がりキレやすくなるそうです。というのも、中学生は小学生よりさまざまな欲求が増えるのに、欲求を抑えるブレーキの前頭前野がまだ十分に成長していないからです。
高校・大学と成長するに連れてバランスが取れるように
小学生はブレーキも未発達ですが、アクセルもまだそれほど強くありません。それでうまくバランスが取れていて、それほどキレないのです。
その後、高校・大学と成長するに連れて前頭前野が成長するので、またバランスが取れるようになっていきます。
思春期の子は精神的にも自我の確立という大きなテーマに挑んでいます。例えば、「自分は何者なのか?どう生きるべきか?」などと悩んでいたりします。自分の土台を確立するための葛藤でありこれも不安定の要因です。
「親や先生は本当に正しいのか?言うこととやっていることが違うのではないか?」など権威的な存在への疑いや反発も感じています。また「世の中はこれでいいのか?間違っているんじゃないか?」などの疑いも持ち始めています。それもまた不安定さにつながります。
思春期の子は親や先生などの権威に反抗して自我を確立する時期ですが、それは簡単なチャレンジではなく不安に満ちたものです。そこで、一緒にチャレンジしてくれる同士としての友達の存在が重要になってきます。
その結果、友達とよい関係を築くことに非常に気をつかうようになります。つねに友達との関係で自分の立ち位置や振る舞いに気を配り、自分がどう思われているか、孤立していないかなど、必要以上に心配しています。これもまた大きなストレスです。
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