数字に強くても「人望ゼロ」残念上司に欠けた視点 血の通わない数字をただ伝えても人は動かない
一般的に「数字に強い人は仕事ができる」と言われます。仮にそれを正しいとするなら、「数字に強い上司ほど部下を動かせない」という私の主張は矛盾をはらみます。まずはこの矛盾の正体を明らかにしなければなりません。
人を動かせない「血の通っていない数字」
数字に強い上司は常に合理的に、数字とロジックを使って答えを導こうとします。もちろんそれはビジネス数学の視点からは素晴らしい行いです。
しかし、それはあくまで机上の空論に過ぎず、その数字を使ってそのまま指示をしても人はおそらく動きません。
たとえば、ある管理職が部下に次のような指示をしたとします。
来年のキミの仕事は売上を1億円あげること。売上の商品別の割合はAが20%、Bが10%、Cが30%、Dが10%、Eが10%、その他で20%を目指せ。受注率は全体で15%。勤務時間は昨年よりも10%削減。業務にかかるコストは20%削減。以上をすべて必ず達成すること。
おそらくこの管理職は数字をしっかり分析し、その結果を踏まえて具体的な指示をしたつもりでしょう。おそらく分析内容は間違ってはいないし、理論上はこれらの数値を達成することは妥当なのかもしれません。しかしこれこそが、典型的な「人を動かせない管理職」の指示内容です。実際、このような指示をされた部下の心情は次のようなものでしょう。
「そんなの単なる数字遊びの結果」
「数字はそうだとしても、現実はそんな簡単な話じゃない」
「そんな機械的な指示で管理職が務まるなら学生でもできる」
「数字しか見てない奴の指示なんか聞けるかよ」
私も同感です。なぜこのようなネガティブな受け取られ方をしてしまうかというと、血の通っていない正論を機械的にぶつけているだけだからです。
繰り返しですが、先ほどの指示は数字の観点では完璧な指示であり、100%正しい内容です。しかしその数字には人間の血が通っていません。
ではどのようにすれば、人を動かせる「血の通った数字」を示せるのでしょうか。最大のヒントは、「数字しか見てない奴の指示なんか聞けるかよ」という言葉にあります。
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