SFは「時間」を通して"命"をどう描いたのか? 「シン・ゴジラ」からひもとく進化の到達点
この数十億年というのは、天文学的な時間スケールと一致します。太陽と同じ大きさの恒星(いわゆるG型主系列星)の場合、その寿命は100億年前後です。
生命はこうした恒星の周囲でしか誕生しないとすると、『火の鳥 未来編』のように、原始的な生命が誕生するところから何度も進化を繰り返すだけの時間的余裕はないのです。
生命の進化が可能な期間は限られている
もしかしたら、太陽よりも少し小さい恒星(K型主系列星)の周りでも、生命が発生できるかもしれません。こうした恒星は、太陽よりもずっと長い数百億年の寿命を持つので、進化が何度か繰り返される可能性があります。
ただし、太陽よりも光量が乏しく、また表面温度が低いため個々の光子が持つエネルギー量が小さくなり、物質進化のスピードが遅くなるとも考えられます。また、恒星の寿命に満たない期間で、生命の進化が途絶える可能性もあります。
恒星の発するエネルギーは、内部で起きている核融合の出力に左右されますが、太陽の場合は、あと数十億年でエネルギー発生の効率が上昇すると予想されており、それ以降は、光量が増して海が干上がりそうです。
さらに、天の川銀河はアンドロメダ銀河と衝突することが確実視されています。衝突と言っても、銀河内部における天体の密度はきわめて低いので、星同士がぶつかることはほとんどありません。
ですが、ガスの密度が揺らいで新たな恒星ができやすくなり、場合によっては、巨大になりすぎた恒星が次々と超新星爆発を起こすこともあります。こうなると、強烈な放射線が飛び交って、近隣の惑星では生命存続の危機となります。
一つの惑星で生命の進化が可能な期間は、限られています。そうなると『火の鳥 未来編』で描かれたように、知的生命に至る進化が何度も繰り返される可能性は小さいでしょう。
宇宙で知的生命が繁栄する時代は、意外なほど短いのです。
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