トルクメニスタン「地獄の門」軽自動車で訪ね挫折 地獄を見るなら夜、と「道なき道」を行くも闇

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国境を越えて、両替えをして、ガソリンを入れた今は土曜日の夜。あたりを見渡しても一軒もお店が開いていないから、スマホのSIMカードは買えそうになかった。

首都へ向かってミッドナイトラン

トルクメニスタンは町らしい町があまりないみたいで、確実にインターネットをするとなると首都まで行かないと無理そうだ。

Yuko、首都のアシガバートまで何キロあるかな?

「600キロくらい」

そんなに遠いのかあ。明日の朝から走ったんでは、月曜日の仕事に間に合わないかもしれない。困ったなあ。どうしよう。

「じゃあ、今晩走るっていうのはどう?」

「ちょうどね、中間地点に地獄の門があるし」

なにが“ちょうど”なんだかよくわからないけれど、旅の家訓「海外では暗くなったら運転しない」的にあずましくない(北海道の方言で落ち着かないの意)よね?と言おうとしたら、

「地獄を見るなら、夜だよね」

まったくもっておっしゃる通りだと思い、ミッドナイトランが決まってしまった。

正直言うと、独裁国家の闇を駆け抜けるというのはいかがなものかと不安でならない。 けど、もし納期に間に合わなかったら、閻魔様より怖いクライアントに地獄に突き落とされる。そっちのほうがいやだ。

幸い、南へ下る道は明るかった。

強盗が隠れられないくらい街灯がぎらぎらと輝いていた。電気代を無料にしても電気が余るらしく、無駄に街灯を明るくして消費するとはさすが産油国である。と感心していたら、突然、真っ暗になった。街灯は町のなかだけだったのだ。

でも暗くてもさほど気にならなかったのは、アスファルトの質がすこぶるいいからだ。 シワひとつなく、いぶし銀的に黒光りしている。タイヤに吸い付くように滑らかだ。

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