それぞれ書き出した強みをグループ内で共有すると、それぞれに気づきがあったようだ。たとえば、Mさんが「雑談が得意で、初めてのお客様でもすぐに仲良くなれます」と言うのを聞いて、同じテーブルに着いていたRさんは「私は雑談が苦手です。むしろ瞬発力が取り柄で、アイスブレークがなくても本題に入るんですが、話を進めながら相手のツボをついていきます」と言う。「雑談が得意でも苦手でも、それぞれの営業スタイルの強みなんだなあと思いました」とMさんは感想を漏らす。
Aさんは、同じグループのNさんの発言が印象に残ったという。Nさんは「女性であること」を強みとして挙げた。その理由として「チームは私以外全員が男性なので、自分もどうしても男っぽくなりがちなのですが、女性だからこそ考えられる提案があるし、女性ならではの価値があるなと思っています」と熱く語っていた。Aさんはそれを聞いて、「これまでに仕事上で、女性だからこそ有利だった局面も不利だと感じた局面もあったのですが、そういう経験を大事にして、女性としての自分なりの価値をみつけたいなって思いました」と言う。
別のグループで参加していたKさんは「同世代なのに、経営者商談が得意だと挙げている人が何人もいて、すごいなあと思いました。私ももっと頑張らないといけないって刺激を受けました」と言う。一方で、Kさんはデータ分析など、ほかの人は書いていない強みがあった。これには自信を持ったようだ。
自分の強みを書き出した後で、これから身に付けたいスキルについても考えてもらった。ここで挙げられたのは、たとえばこのようなものだった。
マネジメントスキル、専門性、論理性、数字に強くなる、発信力、分析力、憧れの人を見つける、仕事上での代表作、トーキングスキル、伝える力、人脈を広げる、いろいろなことにチャレンジする、積極性、頼る力……。
「営業の仕事を続けたい」と前向きな気持ちに
会の終わりに参加者のひとりYさんはこう語った。「先輩の話を聞いて、少し先のキャリアイメージが明確になりました。みんな意外と同じ悩みを持っていることがわかったので安心もしました」。Yさんは、もうしばらくは営業の仕事を続けて頑張ってみようと前向きな気持ちになったという。
会の終了後に記入されたアンケートでは、今後のキャリアイメージとして、「営業を続けたい」と回答した人が10人、「別の職種へのキャリアチェンジを考えている」と回答した人も同じく10人いた。
営業を続けたいと回答した人は、「今の仕事が楽しい」「営業という仕事が好き」「自分に向いていると思う」「いろいろな人とかかわることができる」と理由を挙げた。一方、キャリアチェンジを考えている人は、広報、マーケティング、企画、新規事業開発などへの職種転換や起業などを検討しており、「ほかの職種も経験したい」「今ある知識を生かしてもっと専門性を身につけたい」などの理由を挙げていた。
参加者たちはいずれにしても、営業という仕事をしてきたことが決して「潰しが利かない」わけではないことを確認できたようだ。そして、この会で認識した自分なりの強みや個性が、今後のキャリアにおいても大きな力となることは確かだろう。
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