ほかに多くの女性が口にした悩みは、この先も営業のままでキャリアを積んでいくべきなのかというものだった。「入社以来、営業の仕事しかやったことがないので不安です」という女性は、「営業の仕事で身につけた経験やスキルってほかの職種に汎用できるような気がしないので、マーケティングの勉強をしてみたり、エクセルの資格を取ったりと迷走中です」と打ち明ける。
自分の強みとは何だろうか
ここで、悩める若手営業女子の前に「先輩スピーカー」として登場したのが、エン・ジャパンに入社して9年目、営業職として「とにかく必死で20代を突っ走ってきた」という吉久あゆみさん(31)だ。
2007年に入社した吉久さんのキャリアは新卒採用支援を行う部門から始まり、その後クライアントの人材採用戦略により深くかかわる部門へ異動。そこで若手育成の役割も担うリーダーとしても活躍し、現在はクライアントの社員研修や評価制度などにかかわる部門で働いている。これまでも第一線でトップセールスを築いてきた。
参加者たちは、日頃なかなか出会えない女性の先輩のスピーチに真剣に耳を傾ける。そんな彼女たちを前に、吉久さんは「誰にでもできると思われがちだけど、誰にでもできるわけではないのが営業という仕事だと思う」と力説する。「ただそれは、自分の強みや自分にしか出せない価値を見つけたうえでのこと。そのためには20代のうちに、目の前のやるべき仕事は徹底的にやり遂げ、嫌なことや難しいことにも果敢に挑戦したほうがいい」とアドバイスする。
「私は一時期、自分の好きなようにやらせてくれないと個性が潰れてしまうのではないかと思っていたことがありました。でも、自分のやりたくないことをやっている中でも最後に残るのが、自分らしさや個性なんだと思うんです。自分の強みを見つけるためにも、自分のやりたくないこと、不得意なことにもどんどん挑戦してください」
自分の強みとは何か――。営業という仕事にスペシャリティを感じないという人は多く、「営業は他職種への潰しが利かないのではないか」「営業で身につけた経験やスキルはほかの職種に生かせないのではないか」という不安を抱えがちだが、実は自分では「強み」だと認識できていないスキルがあるのかもしれない。その強みを自分で認識できるようになれば、ただ数字に追われるだけの仕事のやり方を変えられるかもしれないし、ほかの職種にキャリアチェンジを図る可能性も広がってきそうだ。
そこで朝会では、参加者一人ひとりが自分の強みを思いついたままに書き出すというワークを実施した。わずか3分間という時間でも、付箋に書き出された「強み」は、1人あたり5~10にも上った。たとえば、こんな具合だ。
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