プーチン訪朝でもロ朝の軍事的重要性は薄い インフラ整備など経済協力も発展・拡大するか未知数
――今回のプーチン大統領の北朝鮮訪問で公開された日程やイベントについて、どのような印象を持たれましたか。今回は平壌空港到着後、プーチン氏がかつて金正恩総書記にプレゼントした自動車のハンドルを握るというハプニングもありました。
私が見るかぎり、このようなハプニングには大きな意味はありません。今回は北朝鮮にとっては珍しい国賓の訪問です。当然、行事も接待も多くなります。ロシアはすでに金総書記にロシア産高級自動車「アウロス」をプレゼントしたこともあり、今回もまた、同じ車をプレゼントしました。
プーチン氏が自分を送迎するための車のハンドルを握ったことは、それほど驚くことではありません。若い時、生活が厳しくてアルバイトとしてタクシー運転手をやったことがあるプーチン氏は、もともと自動車の運転が好きな人です。
とくに慣れていない土地で運転することは楽しい経験となったでしょう。でも、政治的意味はありません。
ソ連時代の同盟関係の復元
――今回の訪朝により、北朝鮮とロシアは旧ソ連時代の同盟関係に戻った、当時の関係が復元されたとの指摘があります。
当然、そうなります。1961年に締結された「ソ連・朝鮮友好協力相互援助条約」が復元されました。しかし、最近よく関心の的になっている軍事支援に関する条項をみると、われわれが思っているほど重要ではない可能性があります。
例えば、中国と北朝鮮の間には今回のようなほぼ同じ内容の条約があります。しかし、朝鮮半島で武力衝突が生じても、中国がそれに干渉する可能性がほとんどないことは常識です。
ロシアもまた、朝鮮半島で小・中規模な衝突があっても、積極的に介入しない可能性があります。
そう考えられる、よい例があります。軍事同盟を規定した1961年の条約が締結されてから5年から7年の間、北朝鮮は韓国に対してかつてないほどの軍事挑発を行いました。例えば1968年1月の「青瓦台(韓国大統領府)襲撃未遂事件」(金新朝事件)や、同年11月の韓国東部・蔚珍、三陟で発生した武装ゲリラ侵入事件などです。
1960年代末期の朝鮮半島では、まるで第2次朝鮮戦争と呼んでもいいほどの大きな挑発が行われました。当時、北朝鮮の特殊部隊はソウル市内に侵入して大統領府を攻撃する準備を完了させており、実行直前になって明るみになって撃退されました。
とはいえ、当時のソ連はそういった北朝鮮の挑発を支持する考えはまったくありませんでした。
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