リゲインもほぼ消滅「栄養ドリンク」衰退の背景 若者の心を掴んだエナドリとの"決定的な差"
このタウリンという成分はアミノ酸から合成され、ホメオスタシスと呼ばれる“細胞を正常な状態に戻す作用”を持つ、生物にとって非常に重要な物質である。特に肝機能に対して効果を発揮するといわれており、胆汁の分泌を促進したり、肝細胞の再生を促進するとされている。
このように栄養ドリンクは医薬品または医薬部外品のため、「滋養強壮」や「栄養補給」などと宣伝できるのだ。
一方のエナドリは食品衛生法のもと、「清涼飲料水」に分類される。要はコカ・コーラや三ツ矢サイダーのようなジュースと同じ扱いである。
エナドリには栄養ドリンクのように、タウリンは含まれていないため、間違っても医薬品などではない(ややこしいが、海外のエナドリにはタウリンが含まれていることもある)。
その代わりに「カフェイン」と「アルギニン」、あるいは「ガラナ」などが添加されている。前者の説明は省かせてもらうが、後者は必須アミノ酸の一種であり、人の体内で生成できないアミノ酸である。代謝をよくする効果があり、この成分が「リフレッシュ」を感じさせてくれるのである(もっとも、エナドリを飲んでアガるのは、主にカフェインによるものだが……)。
勝因は「若者向けマーケティング」
栄養ドリンクとエナドリは、それぞれ違った飲み物だ。しかし、「疲労回復」という面においては、医薬品や医薬部外品のほうが効果はありそうである。それが、なぜエナドリに取って代わってしまったのだろうか? そこには、エナドリ側の「若者向けマーケティング」という戦略があった。
レッドブルが日本に初上陸したのは2005年からだが、当時はさまざまな栄養ドリンクが群雄割拠している時代。そこに、同じく「疲労回復」を謳うレッドブルが入り込む余地はなかった。
そこで、レッドブルはタウリンを抜いて清涼飲料水、つまりジュースとして販売することにした。
それはそれで、レッドオーシャンであるが、レッドブルは栄養ドリンクのいない世界で「アガる」「疲労回復」「カッコいい」というコンセプトを全面的に打ち出し、スポーツイベントや音楽フェスなど、若者が集まる場所でプロモーションをかけていく。
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