リゲインもほぼ消滅「栄養ドリンク」衰退の背景 若者の心を掴んだエナドリとの"決定的な差"

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「24時間戦えますか?(=働けますか?)」の時代は終わり、今はテレワークや時短勤務など、働き方も多様化し、昔のような過酷な労働を強いられなくなったため、「リゲインをはじめとした栄養ドリンクは、苦境に立たされている」と言いたいのだろう。

このタイプがなくなるという。実際見ることが少なくなり、本記事のために複数のドラッグストア、コンビニを渡り歩いても、見つからなかった(画像:第一三共ヘルスケアHPより)

確かにコロナ禍を経て、働き方改革の恩恵を受けた人もいる。その一方で、深夜を過ぎても働いてタクシーで帰宅する、あるいは始発まで働き続ける「モーレツ社員」も、今は「社畜」と名前を変えて存在している。会社員の本業と並行して、命を削りながら副業を一生懸命している人もいるだろう。

そう考えると、今回のリゲインの出荷終了に関していえば、「エナジードリンク(以下、エナドリ)」の台頭のほうが、要因としては大きいだろう。

そこで、ここではエナドリが栄養ドリンクのお株を奪うまでのマーケティング方法や、そもそものエナドリと栄養ドリンクの違いを紹介していきたい。

栄養ドリンクから座を奪い取ったエナドリ

現在、エナドリはコンビニやスーパーマーケットなど至るところで販売されており、すっかり栄養ドリンクから「疲労回復のための飲み物」の座を奪い取ったといっても過言ではない。

インテージSRI+データによると、エナドリ市場はコロナ禍で2021年の対前年の伸びは鈍化したものの、マイナスに転じることなく近年伸び続け、2022年は前年比7.5%増の887億円を記録。2017年比では約1.7倍の伸びとなったという。

主な商品といえば、「レッドブル」と「モンスターエナジー」などの海外メーカーが挙げられるが、サントリーフーズの「ZONe」やコカ・コーラの「リアルゴールド XY」といった国内メーカーの商品も好調である。

エナドリ
今では各社、様々なエナドリを出しており、熾烈な争いが続いている(編集部撮影)

ただ、ひっそりと撤退・終売した商品も少なくない。アメリカからやってきた「ロックスター」、ワシのマークの大正製薬による「RAIZIN」、コカ・コーラの「バーン」、そして今回の主題であるリゲインも「リゲイン エナジードリンク」を販売していたのだ。今やどれも見かけなくなった。熾烈な競争を繰り広げながら、市場としては拡大をし続けてきた、ということだ。

一方の栄養ドリンクはというと、縮小気味とはいえ、大正製薬の「リポビタンD」、佐藤製薬の「ユンケル黄帝液」、アリナミン製薬の「アリナミンV」などは健在で、テレビCMもたびたび放映されている。どのコンビニに入っても、入り口付近の棚に必ず陳列されているため、いくら縮小しているとはいえ、このままなくなってしまうとは思えない。

栄養ドリンク
リゲインの他にも栄養ドリンクは様々ある。が、全体で見れば縮小の傾向だ(編集部撮影)

ところで、栄養ドリンクとエナドリの違いはご存じだろうか? 大まかにいえば「タウリンが含まれているか否か」である。

例えばリゲインをはじめとした栄養ドリンクにはタウリンが含まれており、薬事法において「医薬品」または「医薬部外品」に分類される。これは病気に対する治療や緩和、予防効果が期待されることを意味する。

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