リゲインもほぼ消滅「栄養ドリンク」衰退の背景 若者の心を掴んだエナドリとの"決定的な差"
こうして、これまで疲労回復のために栄養ドリンクを飲んでいた者たちが、おいしいエナドリに流れるのは容易に想像できるだろう。
この若者向けマーケティングによって、エナドリは、栄養ドリンクの市場規模を縮小させたのだった。
後続のZONeはeスポーツ、VTuber、スマートフォンゲーム『ウマ娘』とコラボし、リアルゴールド XYは「YOSHIKIプロデュース」を前面に打ち出している。レッドブルやモンスターエナジー同様、若者に向けて商品をアピールしているのだ。
YOSHIKIが若者向けかといわれてしまえば、そこに疑問符はつくが、それでもアリナミンVはスーツを着こなした反町隆史、ユンケル黄帝液はとうとう50歳になったイチロー、久光製薬の「エスカップ」は出社前の向井理をCMに登場させているように、栄養ドリンクはエナドリに対抗して、「サラリーマン向け」と完全にすみ分けがされた状態になっている。
ただ、その代表格だったリポビタンDは、今月から妻夫木聡と木南晴夏をCMに起用し、「チオビタ」のような爽やか路線に変更している。筋骨隆々の男たちはもうそこにいない。
「飲み過ぎてしまうこと」に危険性も
人々の働き方は変わらず、ただそのお供は栄養ドリンクからエナドリに変わっただけ。両者は完全に別物ではあるものの、それはそれとしてタウリン、カフェイン、アルギニン……何が入っていようと、飲んで「アガる」のであれば正直、成分は関係ないのかもしれない。
ただし、すでに触れたがエナドリの特徴は「飲みやすさ」にある。苦くてマズい栄養ドリンクを毎日1リットル飲むのは不可能だが、甘くてスッキリ感のあるエナドリだとごくごくいける。ストロング系飲料そのものが危険性なのではなく、「飲み過ぎてしまうこと」に危険性があるのと、同じ構造なのだ。
……ということで、後編の記事「エナドリを「1日1リットル」飲んだ私に起きた異変 一気飲みで心臓バクバク…アル中が犯した危険」(6月27日公開)では、アルコール依存症だった時期に、同時並行でエナドリを「1日1リットル」飲んでいた筆者が、命の危険を感じた体験談を綴っていく。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら