増加しているのはほとんどが「地方」
地方公共団体(公立大学法人を含む)が設置・運営する公立大学は、1988年の38校から2003年には76校、2024年には101校と増加の一途をたどっている。今や国立大学(86校)を上回る数だ。学生数も5.9万人(1988年)から16.6万人(2023年)と約3倍に増加した。
少子化で大学進学者数が減少する中、なぜ公立大学は増えているのか。それぞれの地域でどのような役割を担い、期待を受けているのか。教育ジャーナリストで国内の約800の大学をすべて訪問した経験を持つ山内太地氏に「公立大学のリアル」を聞いた。
――公立大学は、この20年の間にも25校も増加しています。
まず、増加しているのはほとんどが東京圏・大阪圏を除く「地方」だ。近年、新設された公立大学を見ても三条市立大学(新潟県)、福山市立大学(広島県)、沖縄県立芸術大学(沖縄県)、釧路公立大学(北海道)などいずれも地方圏だ。とりわけ北海道(7校)、広島県(5校)、新潟県、長野県、石川県、山口県(各4校)などに公立大学が集中している。
この公立大学の増加には、私立大学から公立化した例も含まれる。定員割れで経営難に陥っていた私立大学を地元自治体が救済する目的で、2009年の高知工科大学(高知県)を皮切りにこれまで12校が公立大学に転じた。高知工科大学、名桜大学(沖縄県)、静岡文化芸術大学(静岡県)など、20~30年前の大学誘致ブームで設立された公設民営方式の大学を公立化したケースが多い。
かつては定員割れしていた私立大学も、「公立ブランド」をまとったことで軒並み人気校に変貌している。福知山公立大学(京都府)は入学志願倍率が公立化の前と後で、1.5倍から33.4倍(2022年度は3.6倍)に、公立鳥取環境大学(鳥取県)は1.7倍から10.0倍(同4.3倍)、周南公立大学(山口県)は1.2倍から7.7倍(同9.7倍)と、それぞれ急上昇した。
――なぜ、地方においてこれだけ公立大学が増加しているのでしょうか。
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