スバル「水平対向エンジン」継続を明言した意味 EVと並行してカーボンニュートラル燃料対応へ

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また、AWDの制御技術については、「今後のスバルが量産開発を進めるBEV(バッテリーEV)でのAWD化を考慮すると、(エンジン車である場合)鍛えるべき技術として出力が高い(大きな排気量の)ターボエンジンがのぞましい」という解釈もある。

次戦より実戦投入するWRX S4のスーパー耐久マシン(写真:SUBARU)
次戦より実戦投入するWRX S4のスーパー耐久マシン(写真:SUBARU)

では、これまでのスーパー耐久シリーズ参戦における成果をどう捉えているのか。

当初の計画通り、もっとも大きな成果は「人材育成」だという。参加してきたエンジニアからは「社内に絆ができた」という声があがっていて、世代を超えてさまざまな部門の人との交流が深まったというのだ。

今よりも規模が小さかった富士重工時代は、日々エンジニア同士の顔が見える環境が当たり前だった。それが、株式会社SUBARUとなり大企業化する中で、いわゆる“業務の縦割り”の意識から抜け出すことが難しいと感じるエンジニアも現れた。

ワークショップでの資料の中では、既存車両でも使用できるカーボンニュートラル燃料の検討についての記載もあった(筆者撮影)
ワークショップでの資料の中では、既存車両でも使用できるカーボンニュートラル燃料の検討についての記載もあった(筆者撮影)

そうした中、スーパー耐久参戦を通じて「クルマ1台(の開発)が見られるエンジニアを育てよう」という目標を立て、実際に自分の専門分野と他分野をバランスよく見られる人材が育ち始めていることを、スバルとして実感しているのだ。

また、別視点での果実として「BRZ(の特別仕様車など)で、ユーザーが直接購入できる成果が計画されており、現在最終調整中だ」というユーザーにとってうれしい話も聞こえてきた。

水平対向エンジン「継続」を明言した意味

これまで、中長期の事業戦略として自社で企画・製造するBEVの強化を明確にしてきたスバル。しかし、スバルの真骨頂である水平対向エンジンの将来について、正式な見解はこれまで示されてこなかった。

それが、2.4リッターターボを搭載するWRX S4のスーパー耐久参戦車両や、シリーズパラレルハイブリッド車の量産などにより、水平対向エンジンの未来に光明が見えた。既存のスバル車を環境対応車として作り続けるためにも、カーボンニュートラル燃料等の新技術を磨いていくのだ。

【写真】実機展示もあったワークショップの様子を見る
桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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