スバルはこのまま、BEV(電気自動車)メーカーへと一気に転身してしまうのだろうか。STI向けのICE(内燃機関)搭載車も、生産を終えてしまうのだろうか。
こうした声が最近、スバルユーザー、スバル販売店はもとより、スバル社内や関連企業などから出てきた。
きっかけは、スバルが2023年8月2日に公開した「新経営体制における方針」だ。
それまで、「HEV(ハイブリッド車)とBEVを合わせて40%」と台数を明記せずに掲げられていた2030年時点での電動車についての目標が、「BEV50%(60万台)」とされたのである。
この新しい目標では、BEV以外の残り50%をHEVとしており、ICEの表記がないこともポイントだ。
こうしたスバルのBEVシフトに関わる不安や疑問について、スバル技術本部のトップである取締役専務執行役員 CTO(最高技術責任者)の藤貫哲郎氏に同年9月、筆者は単独で詳しく話を聞いた。
以下、インタビュー部分をQ&Aの形式とする。
「スバルが企業として存続することが難しくなる」
―まず、8月2日の会見が、社内でどんな影響を与えたかを聞きたい。
藤貫:社内で刺激を受けた人は多い。実は、あの(会見)後、(群馬の)スバル技術本部でBEV関連に携わる各部門の社員を多数集めて、BEV開発に向けた(経営層の意図の)説明会を実施した。
開発や製造の日程として、これまでにない体系にならなければ、スバルが企業として存続することが難しくなると話した。
米中での(急激なBEV開発・製造レベル向上も鑑みれば)、スバル社内の既存の(開発や製造等での)ルールを壊すという思いで(新しい発想を)考えようという精神論にも踏み込んだ。
―では、2030年の目標をBEV50%とした数字の根拠は?
藤貫:本質的にいえば、(BEVの普及率は)マーケットが決めることだ。我々はそこに向けた(経済活動を進めるうえで企業としての)戦う武器を持つというイメージであり、(50%という)数字ありきでない。そのため今回の発表はあくまでも「方針」であり中期経営計画ではない。
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