ワークスタイル変革で働く人を強くする《組織・人を強くするCSR 第3回》
株式会社クレイグ・コンサルティング
マネージングディレクター
企業が成長するためには、社員のモチベーションの向上が欠かせないことは言うまでもない。これが社員の能力アップにつながり、企業の業績向上や企業価値の向上につながっていく。その結果、社員というステークホルダーに利益をもたらす。
今回は、こうしたステークホルダーとしての社員に焦点を当て、大きく社会環境が変化する中、CSRという観点で、企業と個人の関係性の変化にどう対応していくべきかをご紹介していきたい。
かつて日本企業では、終身雇用や年功序列制度などによって社員のモチベーションの維持・向上が図られていた。しかし、バブル期以降この20年でわが国の外部労働市場は急速に発達し社会全体の人材流動化が進んだ結果、こうした制度は一部の大手企業を除いて大きく後退していると言っていいだろう。
自己実現、キャリア開発などの理由で会社を移ることも一般的になり、転職は誰にとっても身近なものになりつつある。こうした状況を背景に企業と個人の関係はよりドライになり、以前のような雇用する側とされる側という「従属関係」ではなく、仕事の成果や報酬といった付加価値を介しての「ギブ&テイク」という対等な関係に近づいていると思われる。
このため、多くの企業は従来と同じやり方では社員のモチベーションアップが図りづらいという問題に直面している。終身雇用・年功序列のような企業主導の長期的なモチベーション維持機能ではなく、より直接的に社員のやりがい・働きがいにつながるような仕組みが必要となってきているのだ。
企業も個人も相互に何を提供し何を受け取るのか、より自覚的になる必要があり、そのうえで、両者がWin−Winの関係を成立させることで、持続的な企業の発展が期待できる。