ワークスタイル変革で働く人を強くする《組織・人を強くするCSR 第3回》
個人の意識改革に結び付けるワークスタイル変革
企業と個人の関係性が変化していく中で「個人がより成果を上げやすく、働きがいにつながるようなワークスタイルの変革」が、さまざま試みられている。
たとえば、IT環境の発達した現在では、仕事をする場所は必ずしも固定的なオフィスである必要はなく、労働時間も従来のような定時制で制限する必要もない。実際に多くの企業で、こうした考えを取り入れて裁量労働、フレックスタイム、フリーアドレス、モバイルオフィスやテレワークなどの制度導入が進んでいる。
「ワークスタイル変革」は、企業が“主”で個人が“従”というこれまでの関係性をより対等なものに引き寄せると同時に個人の主体性を喚起するものである。その結果として、社員にモチベーション・働きがいの向上、ひいては「働く」ということに対する意識変革をもたらすことにもつながるだろう。
さらに個人の意識変革は組織体質の変化につながる。組織体質が変わることで企業業績が向上し、最終的に企業価値も高まる可能性が高い。企業価値が向上すれば、より一層、個人の働きがいや誇りにつながる。このような両者Win−Winを実現する良循環サイクルの起点としてワークスタイル変革は機能するのではないか。
企業と個人の共存が攻めのCSRの第一歩
ワークスタイル変革の手法は多岐にわたる。労働時間のフレキシビリティを実現する「裁量労働制」「フレックスタイム」「短時間勤務」。就業場所のフレキシビリティを実現する「モバイルオフィス」「テレワーク」「フリーアドレス」。仕事や雇用形態のフレキシビリティを実現する「キャリア開発制度」「職種転換制度」「再雇用制度」などだ。
すべてに共通するのは、社員の自主性・多様性を尊重する制度であるということだ。これらは従来の日本型の働き方とは大きく異なるものである。企業にとってワークスタイル変革は、管理・統制から自律・支援へ、単一から多様へ、国内からグローバルへ、という現在の経営的要請に応える組織風土の改革でもあるのだ。