若々しい人・老け込む人「休日の過ごし方」の違い 不安定な社会、「休養」が注目される納得理由

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つまり、現状が安定しているからこそ、脱出できる。ヤクザ映画がはやったのもそこに理由があります。社会が安定しているからこそ、アウトローへの憧れが生まれていたわけです。ジャーナリストが無頼派と見られていたのもこの影響でしょう。

多様性が進む一方、不安を抱えて健全志向へ

時代が変わって、今は風通しがよくなり、多様性も進んで、抑圧がかなり薄まりました。一方で、社会そのものが不安定になり、誰もが、自分の居場所がはっきり定まらないという不安を抱える時代になってもいます。

そういった社会では、人々がアウトローに憧れなくなります。映画やアニメも「脱出モノ」ではなく、「仲間モノ」「つながり」といったテーマが増えました。

自分の足元がどうなっているのか、しっかり固めたいという所から、健康で健全な生活を維持していきたいという意識が生まれ、健康志向の高まりが始まったと考えられるのです。

20世紀的な身分が安定していた世界は、高度経済成長期の副産物だったと考えるならば、そんな世界はもう二度と来ないとも言えます。どんどん多様性が進む一方で、このポスト近代社会においては、足元の不安定さは永久になくならないでしょう。

そうなれば、やはり、ますます健康に気を使うようになるということになります。そういった意味でも、今後「休養学」は、ますます注目されるテーマになるでしょう。

(構成:泉美木蘭)

佐々木 俊尚 作家・ジャーナリスト

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ささき・としなお / Toshinao Sasaki

1961年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。毎日新聞記者、『月刊アスキー』編集部を経て、2003年よりフリージャーナリストとして活躍。ITから政治、経済、社会まで、幅広い分野で発言を続ける。最近は、東京、軽井沢、福井の3拠点で、ミニマリストとしての暮らしを実践。『レイヤー化する世界』(NHK出版新書)、『そして、暮らしは共同体になる。』(アノニマ・スタジオ)、『時間とテクノロジー』(光文社)など著書多数。

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