米国IPOの古くて新しい主役“ドットコム銘柄” 2000年のネットバブル再燃はあるか?

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米大手格付け会社スタンダード&プアーズによる米国債の格下げ、それと並行して起こった株式市場の混乱に伴い、それまでにぎわっていた“ドットコム(.com)”銘柄についての人気も下火となっている。
 
 今年前半にIPO(新規公開)したドットコム銘柄の株価は、直近の株式市場の混迷の中で大きく下落しており、予定されていた多くのIPOは延期され、今後の投資人気の再燃に望みを託している格好だ。

アナリストの多くは、その再燃に期待を寄せている。彼らは、ドットコム人気の沈静化は一時的であり、相場全体が立ち直れば復活すると見ている。
 
 そういうアナリストや投資家の間でいまだに解けない最大の疑問は、今年前半のドットコム人気は、はたしてバブルだったのか、これから期待される人気復活は冷静な判断によるものか、それともバブルに目がくらんだものなのか、という点だ。

今年前半に株式公開したドットコム銘柄は、最近の株式市場の崩落で軒並み値崩れを来している。たとえば、不動産情報サイトのZillowは、本稿の執筆時点で7月の公開時につけた初値から半値になっている。ネットラジオサイトのPandoraは、6月公開時につけた最高値から3分の1以下に値下がりし、ビジネス向けSNSのLinkedInは、5月公開後の高値を10%下回っている。

株式市場全体が下落しているのだから、ドットコム銘柄だけが苦戦していると見るのは正しくない。しかし、今年のエースはドットコム銘柄だと、多くのアナリストがスポットライトを浴びせていたのだ。
 
 現に、インターネット関連IPOの公開時の価格は今年前半に高値を呼び、メディアではかつてのドットコムバブル(1990年代に噴き上げ、世紀の変わり目で劇的崩落に終わった)との比較で議論が白熱している。

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