米国IPOの古くて新しい主役“ドットコム銘柄” 2000年のネットバブル再燃はあるか?

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Pandoraの経験は、ドットコムセクターに生まれつつあったバブル的なものの“ガス抜き”をする働きをしたのではないだろうか。同社はIPOで2億3500万ドルの資金調達を行ったが、その公開価格1株目16ドルで買った投資家は、いずれもわずか数日で損を抱える結果となった。このことは、Grouponやその他のまもなく株式公開をしようとしているドットコム銘柄を買おうとしている投資家にとっては、警告になったはずだ。

ソーシャルメディアの巨人、Facebookでさえも、その影響を受ける可能性がある。アナリストの中には、Facebookの株式公開は早いほうがいいという見方もある。今年末までに500人以上の投資家を擁することになるとみられているからだ。
 
 米証券取引法によれば、500人以上の投資家を擁する会社は、たとえ非公開でも四半期決算報告をSEC(証券取引委員会)に提出する義務がある。そういう点からすると、Facebookの経営者が株式公開によって失うものより、得るものが多いと判断するかもしれない。

今年1月にゴールドマン・サックスがFacebookに5億ドルを出資したとき、同社の時価総額は500億ドルだった。当時、多くのアナリストはFacebookの時価総額が今年末には1000億ドルになると期待していた。しかし、Pandoraの経験や株式市場全体の動揺によって、そのような時価総額の超高レベルへの到達は不可能かもしれない。

多くの投資家がドットコム銘柄に熱中しているのは疑いない。しかし、今回は10年前のドットコムバブル時に特色づけられた大ざっぱな見通しよりも、もっと地に足のついた現実的な期待と健全なビジネス展望に沿ったものになりそうだ。
(ピーター・エ二ス特約記者、ニューヨーク在住、翻訳:伊豆村房一 =東洋経済オンライン)

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