台湾半導体「TSMC」、経営トップが6年ぶりに交代 劉徳音氏が会長を退任、社長の魏哲家氏が兼務

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市場調査会社のトレンドフォースのデータによれば、世界のファウンドリー市場におけるTSMCのシェアは(創業者の張忠謀氏が引退した翌年の)2019年1~3月期の48%から、2023年10~12月期は61%に上昇した。

その結果、第2位のサムスン電子との格差は約29ポイントから約50ポイントに拡大。劉氏と魏氏の二人三脚により、TSMCはファウンドリー市場における圧倒的な「1強体制」を築いた。

劉氏は董事長の在任中、生産拠点の積極的な海外展開を主導した。写真は建設が進むアメリカ・アリゾナ州の第1工場と第2工場(同社ウェブサイトより)

今回退任した劉氏は、在任中に生産体制の国際化に力を注いだ。その象徴と言えるのが、2020年5月に発表したアメリカのアリゾナ州への進出だ。

アリゾナでは現在、回路線幅2~4nm(ナノメートル)の最先端プロセスに対応する2つの半導体工場を建設中だ。2024年4月には第3工場の建設を発表し、それらの総投資額は650億ドル(約10兆1854億円)を超える。

生成AIブームで成長加速

TSMCはアメリカのほか、日本の熊本とドイツのドレスデンでも工場の建設計画を進めている。日本では2024年2月に第1工場の開所式を行い、第2工場の建設も発表した。ドイツでは、建設主体となる合弁会社の設立が2023年11月にドイツ政府に認可された。

劉氏の退任により、TSMCの経営は魏氏の「ワントップ」体制に移行したが、短期的な事業戦略に大きな変化はなさそうだ。2023年以降の生成AI(人工知能)ブームが、最先端のAI半導体の製造を事実上独占している同社に多大な恩恵をもたらしているからである。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

TSMCの2024年1~3月期の売上高は5926億4000万台湾ドル(約2兆8690億円)と前年同期比16.5%増加、純利益は2254億9000万台湾ドル(約1兆916億円)と同8.9%増加した。

同社は2024年のファウンドリー市場の規模が前年比14~19%拡大し、半導体市場全体の成長率(約10%)を上回ると予想している。

(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は6月5日

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